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2022/4/18
舌の肥えた大阪人が通う「マルエフめし」
今回、“マルエフめし” を求めて訪れたのは、
大阪・南田辺にある「スタンドアサヒ」。
戦前の昭和10年、そもそも「アサヒビールが飲めるスタンド」
という意味で=「スタンドアサヒ」と名付けられ、地元で愛され早87年。
南田辺の長屋で居酒屋をはじめ、じつに3代目を迎える老舗だ。
少し早い時間にのれんをくぐると、女将の中野さんと兄である大将を中心にスタッフのみなさんがテキパキ切り盛りをしている。店内には懐かしの肘置きクッションがあり、長く地元で愛されてきた風合いがたまらない。
気になる料理が多すぎて悩んでしまうのも、名店ならではの楽しい時間だ。しかし「炊き合わせ」だけはぜひ頼んでほしい。
「ひとつの鍋でごった煮にするのではなくて、それぞれの素材に合わせた料理法で別々の鍋で『炊き』、『盛り付け合わせる』料理のこと。まぁ家庭ではやりませんよね、面倒くさくて(笑)」
「炊き合わせ」は、女将さんの言葉通りとても手間がかかることだけは想像できる。
スタンドアサヒの調理場は独特で、小鍋がいくつも奥に並び火にかけられている。地元で採れた旬のタケノコや、ふき、富山産のほたるいか、など、こだわりって仕入れられた多彩な食材が、最高の状態で炊き上げられている。
質のいい「炊き合わせ」は、ただおいしいだけの存在ではなく、食材の色味が生かされていて、美しく仕上がるものなのだと教えてくれた。スタンドアサヒのそれは、まるで宝石のように小鉢に添えられる。これで1つ390円……。「大阪人は、すぐ値段のことを言いますからね」と笑う女将さん。
大将おすすめの料理が、もうひとつある。焼き鳥だ。
ねぎまではなくてタマネギを使うことで、かしわ(鶏肉)を大きくしている。大きなかしわに火を通しているうちに、ねぎまでは焼けすぎてしまうからだ。タマネギを使うことでしっかりかしわに火を通しても、一本全体がおいしく仕上がるという。
美しい料理につい目を奪われてしまったが、スタンドアサヒという店名からも分かる通り、おいしい生ビールを忘れてはいけない。アサヒプレミアム生ビールの熟撰取扱店だ。
「うちは、マルエフなんて言われる前から、ずっとこれですねん」と大将。
90年近く、大阪のビール好きを足繁く通わせてきた、おいしい生ビールが味わえる。
スタンドアサヒでは黒生も提供されているので、ハーフ&ハーフを楽しむことができる。
マルエフのまろやかさと、黒生の芳ばしい香りがお互いにいいとこ取りされて、ついグラスを持つ手が進んでしまう。
この時間だけは、家庭で再現するのはむずかしい。つまり、通うしかないのだ。
夕方の明るい時間から、スタンドアサヒの前には開店を楽しみにしている人たちが並び、予約の電話もひっきりなし。
大将が「身体が動くまではがんばろうかなって思ってます。あと7年かな(笑)」なんて話していると、2階から御年94歳の先代が前掛けをつけて降りてきましたよ。
ん〜、やっぱり元気がもらえるなぁ。
スタンドアサヒ
住所:大阪府大阪市東住吉区山坂2-10-10
TEL:06-6622-1168
営業時間:17:00〜22:30
定休日:日曜、祝日