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2022/11/21
仕事の疲れを癒してくれる「マルエフめし」
今回、“マルエフめし” を求めて訪れたのは、
大阪・梅田の大阪駅前第1ビルにある
「御影郷 ふくじゅ(みかげごう ふくじゅ)」。
地下2階の少し奥まったところにある知る人ぞ知る名店で、
兵庫の灘にある創業270年以上の蔵元「福寿」直営店だ。
なんとここの日本酒は
ノーベル賞の公式行事で振る舞われたこともあるという。
場所柄、近くで働くビジネスパーソンはもちろん、
出張組が帰りの一杯をいただくシメに選んだり、
最近では若いお客さんも増えているとか。
みんなに教えたいような、教えたくないような。
ふくじゅなら、ひとりカウンターで過ごす時間も
幸せに違いない。
かつては新聞社の方や証券会社の方たちなど、昼夜関係なく忙しく働く人たちの憩いの場だったという「ふくじゅ」。時代は変わり、お酒の楽しまれ方も変わってきたけれど、手頃な価格と料理長が揃えた豊富なメニューは健在だ。
「仕事帰りにお食事として寄られる方もいますし、ちょっと一杯の方もいますし、本当に人それぞれですね」
と優しく話してくれるのは、店長の山田さん。店舗立ち上げの頃から45年もお店を引っ張る、ふくじゅになくてはならない存在だ。
「40年前くらいからかわいがっていただいていたお客さんも、今は定年されていたり引退されてたりしていますしね。でも、最近は若い女性のお客さんも多いですよ。お酒好きな方多いですから。昔は99%男性でしたよ(笑)」
そんな「ふくじゅ」で絶対に頼みたいのが「名物 だし巻き玉子」だ。
数ある「ふくじゅ」のメニューのなかでも不動の人気を誇り、これを食べないと始まらないと言われているのが「だし巻き玉子」だ。
「ポイントはやっぱり焼かんことですね」
焼かん……?
「手早く、火を通しすぎないっていうことです。ほとんど余熱でつくるくらい柔らかく仕上げているんですよ。しかもだし巻きって言ってますけど、お寿司屋さんのやつとかみたいにちゃんと焼いて巻いてないんですよね。フワッと乗せるくらいイメージです」
なるほど、巻くというとついギュッと押し付けて安定させたくなるものだが、「ふくじゅ」のそれは今にも崩れそうなほど絶妙な柔らかさとバランスで、プルプルと揺れている。
気になる味つけも至ってシンプルだけど、これがまた不思議なほどうまい。
「出汁はちょっと多めに入れてますが、基本はうす味なんですよ。こんぶとかつおの出汁なので、そんなに特徴があるわけでもありませんが、出汁が多くなるとその分フワッと焼くのが難しくなるので、それがポイントかもしれませんね」
テーブルに置かれた瞬間、フワッと広がる出汁の香りがたまらない。箸を入れると、中からふわとろの玉子が溢れてきて、これがおいしいと思える日本人でよかったなぁと、DNAがうずく。
シンプルで、ホッと癒される「だし巻き玉子」と、まろやかで料理の旨味を引き出してくれるマルエフは、つい笑顔になってしまうくらい相性がいい。
「うちは立ち上げの頃からずっとアサヒさんの生ビールですね。だから45年くらいになりますかね。マルエフなんて言われる前からずっと、うちで生と言えばこれですね。ビールがお好きな方であればまずこの生ビールを飲んでいただいて、あとは日本酒もたくさんありますので、そこからはお好みでみなさん飲んでいかれます」
1〜2品頼んで、マルエフを頼んで、それでも1500円でおつりが来るくらいのお手頃感。
「毎日とは言わないけど、いつでも気軽にきていただける値段にしています」
席に置かれた、ぜひ熱々をいただいてみてほしい。
「これは、名物になるわけだ」と思わざるを得ない、至福のふわとろ食感と、豊かな出汁の味わいが口いっぱいに広がる。
うまぁ〜。思わず出た言葉に重ねるように、マルエフをグビっといく。
仕事や出張の疲れが、どこかに吹き飛んでいくようだ。
「ふくじゅ」には、他にも豆腐の味噌漬けや、納豆包み焼きなど、一見シンプルなのにひとくち食べるたびに自己記録を更新するような一品メニューが揃っている。
世代や時代を超えてずっと愛されてきた、だし巻き玉子とマルエフ。何十年も飽きないどころか、これなら毎日でも通いたくなる。
あぁ、自分の職場の近くにもこんな居酒屋があったらなぁ……なんて思いつつ、大阪に足を運ぶ楽しみがまたひとつ増えたんだから良しとしよう。
御影郷 ふくじゅ
住所:大阪府大阪市北区梅田1-3-1 大阪駅前第1ビル B2F
TEL:06-6341-1138
営業時間:16:00〜21:30(21:00 L.O)
定休日:日曜日・祝祭日