*Firefox最新版をご利用のお客様へ* ページの背景画像が正しく表示されない場合、こちらをクリックお願いします。
2022/12/23
京都に立ち寄る理由になる「マルエフめし」
今回、“マルエフめし” を求めて訪れたのは、
京都・北野にある「神馬(しんめ)」。
西陣織の中心地で
昭和9年(1934年)創業した老舗居酒屋で、
酒蔵のような外観と
レトロな雰囲気の店内でいただく旬な食材は、
常連さんから観光客まで
分け隔てなくさまざまな客層に愛されている。
ぐるっと中心を囲んだようなカウンタースタイルで、
すべてのお客さんまで
気配りできるような設計になっているのも、
3代目の店主である酒谷さんのこだわりだ。
「神馬」の魅力を語るには、まずその新鮮な食材に触れないわけにはいかない。そこには、京都中央市場が目と鼻の先にあるような場所で生まれ、育ったからこその利点がある。
「僕のオヤジがね、毎日通うもんだからって市場の近くに住んでいたんですよ。だから僕からすると市場で働く人たちと一緒に育ってきたようなもんでね。今になってみると、学生の頃ヤンチャしてた先輩とか後輩が家業を継いで市場でもけっこう偉くなってたりしてね(笑)。そういう昔から大事にしてきたご縁のおかげで、新鮮な食材を手頃に仕入れさせてもらってます。それをできるだけ若いお客さんでも手の届くような価格で召し上がっていただきたいんです」
よく「神馬さんの仕入れの秘訣は?」と聞かれるそうだが、そこには、まもなく創業90年を迎える老舗ならではの「縁」を脈々と受け継いできたという理由があった。
「でもね、僕は若い頃、外の割烹屋さんで修行してたんですけど、オヤジが病気になってこの店に戻ってきたときは西陣織の景気が悪くて、今みたいにお客さんいっぱいの状態になるまではけっこう苦労したんですよ(笑)。お店を開けているのにお客さんが入らない状態に比べれば、コロナは怖くなかったですよ。落ち着けばお客さんが戻ってくる自信がありましたから」
その自信は、メニューの一番上にある「造り盛り合わせ」をいただくだけで納得できる。
「今日は、大間の本マグロと、お鯛さんと、牡丹海老と、やりいかと、いしかげ貝です」
毎日通い続けた市場での目利きと、綺麗な包丁さばきで用意されたお造りは、もう文句なしでうまい!
そんな神馬の厨房には、昔の名残で床下に冷蔵スペースがある。
「昔は今みたいにどこにでも生ビールがあるわけじゃなかったから、この下に300リットル運んできてもらってたみたいやね。近くに歓楽街があったから、毎日1万人くらいがこのあたりを飲み歩いてたんじゃないかなと思います」
景気が良かった時代も、悪かった時代も、店内にアサヒの会員証の飾りがあるくらい長年のお付き合いだ。
「うちは日本酒も含めていろんなお酒を置いてますけど、やっぱりお酒だけじゃなくて料理も一緒に楽しんでいただきたいから、マルエフはいいですよね。炭酸がきつくないし、まろやかやし。もう一杯ビール行ってみようかなって思える味わいやね」
文句なしのお造りと、文句なしのマルエフ。
1人で訪れてじっくり味わいも良し、大切な家族やパートナーとおいしさを分かち合いながら素敵な時間を過ごすも良し。
お造りそれぞれの食感や、とろけるような上質な脂を噛み締めながら飲むマルエフは格別だ。神馬に立ち寄るためだけに京都に行く人たちの気持ちが分かる。
「神馬」には、お造り以外にも人気のメニューが数多くある。天ぷらや、はも寿司、すっぽん鍋はもちろん、低温調理を使ったピンク色のレアとんかつなども人気が高い。
「意外と言う方もいますが、最新の調理器も積極的に取り入れてるんですよ。低温調理なんて機械に任せたほう確実で安心ですから。一方で昔ながらのやり方でしかできないものあるので、1週間かけて炊き上げる料理もあります。その辺りは柔軟にやっていかないとね」
この京都の街で、高級な価格帯にしようと思えばいくらでもできそうな料理が、手頃な価格でいただける。
もっと早く知りたかったなぁ……京都で見つけた老舗居酒屋は、みんなに知ってほしいような、自分だけの秘密しておきたいような、そんな珠玉の名店だった。
神馬(しんめ)
住所:京都府京都市上京区千本通中立売上ル西側玉屋町38
TEL:075-461-3635
営業時間:17:00〜21:30(※ランチタイム要確認)
定休日:日曜日