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10周年を迎える記念大会、舞台はオーストラリア・メルボルン「ニッカ・パーフェクト・サーヴ 2019」決勝レポート!NIKKA PERFECT SERVE 2019 Finals in Melbourne, Australia

午前のテクニカルテストを終え、ファイナリスト達は、改めてカウンターの中を入念にチェック。副材料や氷、グラス類の位置をしっかりと頭に入れ、午後から始まる 「Omakase コンテスト」に備える。ゲストのあらゆるリクエストに応えるためには、入念な準備が必要だ。

●自由に味を描く“Blank Canvas”

「Omakase コンテスト」は、3名のゲストがバーを訪れて様々なリクエストを出す、という設定で行われる。タイムキーパーの合図で1人目のゲストが入店してから15分以内で、3名のゲストにドリンクを提供し、サービスを終えなければならない。使えるのは 「フロム・ザ・バレル」「カフェグレーン」「カフェモルト」「カフェジン」「カフェウオッカ」、そして「シングルモルト余市」「シングルモルト宮城峡」「竹鶴ピュアモルト」。副材料やグラス類は会場のバーに準備してあるものだけを使い、ホームメイドのビターズやシロップなどを持ち込むことはできない。

この基本ルールに加えて、最近の「ニッカ・パーフェクト・サーヴ」では、その年ごとのテーマに沿った課題がある。今年のテーマは、“Blank Canvas”。カフェ式連続式蒸溜ならではの厚みをもつ「ニッカ カフェウオッカ」を“真っ白なキャンバス”に例えて、自由に味を“描く”という試み。宮城峡蒸溜所設立50周年を記念し、伝統を大切にしながらも進化を続けるニッカを象徴する商品として「ニッカ カフェウオッカ」が選ばれた。馥郁としたウオッカの特長を最大限に活かすため、オリジナルのアロマを少量スプレーしたり、ピクルスやジャムを添えたりと、各自が様々な工夫を凝らす。中でもユニークだったのは、フレッシュな苺とヨーグルトで作ったクリームを、ワイングラスの内側に薄く刷毛でぬり、そこに冷やしたウオッカを注ぐというもの。苺のクリームが少しずつ溶けて味わい深くなっていく過程が楽しめる。

  • Blank Canvas の例

    Blank Canvas の例

  • ウオッカと苺クリーム

  • ウオッカと苺クリーム

    ウオッカと苺クリーム

●12のシナリオ

“Blank Canvas”を含めて、バーテンダーはゲストのオーダーに応えてドリンクを提供する。必ずしもカクテルをつくらなければいけないわけではなく、適切な商品を選びストレートやロックで出してもいい。重要なのは、ゲストのリクエストに応えられているかどうかだ。

実は、ジャッジは事前のミーティングで「Omakase コンテスト」のためのシナリオを共有している。シナリオは12パターンあり、ゲスト3名の人物設定や関係性、バーに来た理由や状況などが記載されている。ある時は仕事帰りの同僚3名、ある時は観光でメルボルンを訪れたカップルと地元の常連客、偶然居合わせた旧友など。もちろん、そのシナリオはゲストを演じるジャッジだけが知っている。

『オーストラリアのシラーズを思わせる味わいのカクテルを飲んでみたい』 (ワイン愛好家)
『きれいな宝石のようなカクテルをつくって』 (オパールのサプライヤー)
『海の香りがするようなドリンクを』 (サーファー)

エリックの服装に注目してほしい。ジャケットを着ていたり、シャツだけだったり、カジュアルなパーカー姿の時もある。実は当日、彼は会場にスーツケースを持ってきた。ジャッジは身一つで来ればいいはずなのになぜ?と思えば、様々なシナリオにあわせて雰囲気を変えられるよう、着替えや小道具を持って来ていたのだ。服装と共に、話し方やしぐさまで変えていく。バーテンダー達は、予測がつかないエリックの言動に翻弄される。

ロジェリオも、別の角度からバーテンダーの対応力を試す。彼は自身のバーでお客様の満足度を高めるため、あらゆる努力を惜しまない。それだけに、飲みたいカクテルの具体的なイメージを伝え、出されたものについて次々に質問を投げかける。バーにおいて、ゲストのリクエストに対応するのが難しいシチュエーションは日常茶飯事だ。バーテンダー達は、さりげない観察とコミュニケーションで、ゲストがどういう気持ちなのか、何を求めているのかを探り、持てる知識と技術を総動員して対応する。12のシナリオの主役はゲストだが、自然とファイナリスト12名の個性が滲み出てくる。

●優勝は、アクシデントを乗り越えた、ギリシャ代表 アステリス

10周年の記念大会で優勝したのは、ギリシャ代表のアステリス。結果発表で自分の名前が呼ばれた瞬間、彼は思わず顔を両手で覆い屈みこんだ。こみ上げてきたのは、驚きと安堵と喜びが混ざり合った感動。それもそのはず、アステリスはメルボルンに出発するため自宅からバイクで空港に向かう途中、車に追突される交通事故に遭っていた。奇跡的に本人は無事だったが、バイクとスーツケースは壊れ、予定していたフライトを逃してしまった。それでもなんとか翌日のフライトに乗り込み、2回の乗り継ぎを経てようやくメルボルンにたどり着いたのだ。ホテルにチェックインしたのは、コンテスト開始の10時間前だった。そんな状況にもかかわらず、彼は終始穏やかな笑顔を絶やさず落ち着いていた。「Omakase コンテスト」では、エリックが好奇心旺盛なインテリア・デザイナーの役回りで、バックバーの細部を見たいとカウンターの中に乱入。それでも、うまく席に誘導しつつ、時間内にサービスを終えた。“Blank Canvas”のウオッカと苺クリームも彼の作品だ。

アステリスのOmakase コンテスト

アステリスのOmakase コンテスト

準優勝は、アメリカ代表のジェナ。特に評価されたのは、ゲストへの目配りと手際の良さ。ゲストとの会話に気をとられて手が止まってしまい、タイムオーバーとなるバーテンダーもいる中、彼女は全ファイナリストの中で、最も時間の余裕をもって3名のゲストにドリンクを提供し、さらにプラスアルファのサービスで印象づけた。日頃、ニューヨークの忙しいバーで大勢のゲストを相手に接客している対応力が発揮された。

準優勝のジェナ

準優勝のジェナ

他のファイナリスト達から祝福を受けるアステリス

他のファイナリスト達から祝福を受けるアステリス

二人は2020年、日本に招待される。約1週間の滞在中、余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所を訪問しニッカの歴史やウイスキーづくりについてさらに学ぶ他、札幌、仙台、東京のバーを訪問したり、日本の多彩な食文化を体験したりする。また、「Tokyo International Bar Show」の開催にあわせて来日する予定のため、国内外から訪れる多くのバーテンダーと知り合う機会にも恵まれるだろう。

二人揃って来日

二人揃って来日

●2020年からはオーストラリアも参戦!
「ニッカ・パーフェクト・サーヴ」は新たなステージへ

北半球から12名のファイナリストがメルボルンに集結した今回の10周年記念大会。南半球での決勝は、ニッカ創業80周年を記念し、フランス領レユニオン島で開催された2014年以来だ。これまでの10年間で103回の地区大会が行われた。そして、11年目を迎える2020年から、いよいよオーストラリアが参戦。既に来年のエントリーの準備として見学に来ているバーテンダーも散見された。「ニッカ・パーフェクト・サーヴ」の『Ichi-go Ichi-e 一期一会』 のコンセプトに賛同し、日々精進を続けるバーテンダーの輪は、年代や国を超えてさらに広がっていく。

Omakase コンテスト

Omakase コンテスト

Omakase コンテスト

Omakase コンテスト

Omakase コンテスト

Omakase コンテスト

Omakase コンテスト

Omakase カクテル

Omakase カクテル

「ニッカ・パーフェクト・サーヴ2018」決勝レポートの模様はコチラ

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