今回訪れたのは、ロンドンの飲食業界で知らない人はいないという有名バー「LAB(ラボ)」。多くのツーリストで賑わう、ロンドン随一の繁華街ソーホーのド真ん中に構えている。といっても、店内にツーリストの姿は見当たらない。聞けば、ゲストの多くはローカルのカクテル愛好家か、飲食業界関係者で占められているという。
店名の「LAB」は「London Academy of Bartender」の略で、もともとはバーテンダーの育成スクールとしてスタートした。そこから派生するカタチで、若手バーテンダーの実践力を養うためのバーとしてオープンし、現在ではロンドンのバーシーンを牽引する名物バーとなっている。それゆえ、LABにはカクテル通や業界関係者が多く集まってくる。そして最新の情報を交換したり、カクテルの新しいネタを探したりしているのだ。
また「LAB」には「Laboratory=実験室」という意味もある。その名の通り、常にカクテルに関する新しい実験が行われ、ロンドンの、いや世界のバーシーンの流行を引っぱってきた。オンメニューのカクテルだけで約120種。もちろんスタンダードなものもあるが、ほとんどが「LAB」オリジナルのクリエイティブ・カクテルだ。
そんなLABを取り仕切るのが、ジェネラル・マネージャーのサラ・ミッチェルさん。さっそく彼女にロンドンの最新ドリンク事情を訊いてみた。
「そうね。最近はテキーラカクテルがキテるわね。ここロンドンでは、ジンやウオッカベースのカクテルはほぼ出尽くしてしまった感があるの。その点、テキーラはポピュラーな割に、まだ可能性がたっぷりと残されている。クリエイティヴっていう意味だったら、今はやっぱりテキーラが面白いと思うわ」