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ぶどう畑通信
20237
〜余市のぶどう畑から〜
2023年は5月の気温が低く推移し、春の雪融けが早かったにもかかわらず展葉の時期は昨年とほぼ同時期となりました。しかし、その後6月の気温は昨年より高めとなりました。有効積算気温を比較すると5月31日までは2022年が157.3℃に対し2023年は123.3℃と低かったのですが、6月23日までの積算気温は2022年が274.2℃であったのに対して、2023年は289.8℃となり、今年の6月の気温の高さが良くわかります。また降水量ですが6月の上旬は曇天や雨天が多く、日照時間は昨年比約73%とぶどうの生育に良くない気象が続いていましたが、6月後半になると晴天が続き、好条件となりました。この気候を反映してぶどうの生育が旺盛になっています。垣根の一番上の段に届く枝もあり、もうすぐ摘芯(最上部の生長点を含む枝を切り取り、それ以上にぶどうが伸びないようにする作業)が必要な季節となりました。
その作業の前にこの時期は芽かきや誘引というこれも重要な作業を行っています。新梢管理(キャノピー・マネージメント)です。ぶどうの実に十分な養分を蓄えられるように、そしてぶどうの実が病気に罹らないようにするのが目的です。作業の内容としては適切な葉面積を確保する、果房周辺の風通しを良くする、適度な光を受けられるように、多すぎる枝や副梢を除去します。また横に伸びている枝をまっすぐ上に伸びるように導いていきます。ぶどうの樹が伸びているときは同様に草も伸びますので、併せて株周りの除草も行っています。
ぶどうの樹を一本ずつ確認しながらこういった作業を行っていくとぶどうの樹がそれぞれ違った顔を見せてきます。生育のスピードの違いが良くわかりますが、病気への強さ、弱さも見えてきます。ここから先は長いスパンの話になりますが、その中で生育の良い樹や病気に強そうな樹を選抜し、その枝をもとに、同様の性質を持った良質の樹を自社ぶどう畑に増やします。その結果、テロワールがより明確なワインにつながります。先は長いですが、サスティナブルなワインぶどう造りのために必要な作業です。
(ニッカ余市ヴィンヤード 山本記)