※商品のデザインは撮影当時のものです。
第2ラウンドの「Omakaseコンテスト」は、バーのゲストに扮する3名のジャッジに対し、3種類のドリンクを提供する。使用できるウイスキーは「フロム・ザ・バレル」「カフェグレーン」「カフェモルト」「ピュアモルト・ブラック」「余市15年」「宮城峡12年」「竹鶴21年」の7ラインアップ。持ち時間は15分で、実際のバーシーンに近い設定になっている。
1つ目は、事前にレシピ提出が求められた「シグネチャーカクテル」。これはニッカ創業80周年に関連し、ニッカにまつわるストーリーを盛り込んだオリジナルでなければならない。2つ目はゲストのさまざまな要望に即興で応じる「Omakaseカクテル」。そして3つ目は、ゲストのリクエストに合う最適なウイスキーを選び、おすすめの飲み方で提供する「Omakaseウイスキー」だ。
「シグネチャーカクテル」は、ニッカ創業時の社名“大日本果汁株式会社”に因んで、リンゴのシロップを使ったもの、紅茶と日本茶両方を使いスコットランド人のリタと竹鶴政孝カップルを表現したものなど、各ファイナリストがニッカの歴史を学び創意工夫を凝らした努力のあとが十分感じられるものだった。
一方、ゲストのリクエストに即興で応じる「Omakaseカクテル」では、のんびりした南国リゾートの雰囲気とは対照的に、緊張感あふれるやりとりが展開された。ジャッジ扮するゲストからは「私はファッションデザイナー。デザインのインスピレーションになるようなファッショナブルなカクテルをつくって」「明日帰国するので、レユニオン島の夕日を思い起こせるようなカクテルを」といった難しいオーダーが次々に入った。
選手たちのなかには、ココナッツジュースを使おうとしたものの、うまく殻を割れずに急遽パイナップルに切り替えたものもいれば、ゲストにレシピを説明しながら材料をひとつ入れ忘れたことに気づき、つくり直しを申し出たものもいた。与えられた15分間はあっという間に過ぎ、半数以上がタイムオーバーという結果に!
そんな厳しい展開のなか、総合優勝を果たしたのはノルウェイ代表のヨーガン・ドンス氏。また準優勝にはチェコ代表のクリシュトフ・ホルディナ氏が輝いた。
ドンス氏の勝因は、すべてのカクテルが絶妙なバランスであり、かつウイスキーカクテルとしての完成度がずば抜けていたこと。と同時に、ゲストのあらゆるリクエストに応える対応力も素晴らしかった。その背景には、日頃から積み重ねてきた努力がある。本人は「ニッカ・パーフェクト・サーヴ」に備えて試作を繰り返し、タイプの異なる7種類ものカクテルレシピとそれに合うグラスも用意していたという。また「シグネチャーカクテル」でさえ、ゲストとの会話からさりげなく好みをつかみ、直前に味わいを微調整してサーヴしていた。
準優勝のホルディナ氏もウイスキーやニッカについての知識をきちんと習得して大会に臨んでいた。二人の用意周到な準備は、コンテストの張り詰めた緊張感のなかでも、普段の実力を発揮できる助けになったに違いない。優勝、準優勝の二人は、来年ニッカ蒸溜所研修ツアーに招待される。またファイナリスト全員に「ニッカ・パーフェクト・サーヴ」のロゴが刻まれたオリジナルカクテルシェイカーが贈られた。
ファイナリスト12人
以下にブルーム氏とシューマン氏、二人のジャッジの総評も記載しておこう。
★デイヴ・ブルーム氏コメント
「ここにいるファイナリストたちが生まれる前からウイスキービジネスに携わっているが、昔はバーテンダーにウイスキーを勉強させるのに彼らを追いかけまわさなければならなかった。今日、ウイスキーにこんなにも熱心なバーテンダーを目の当たりにし、感慨深い思いでいっぱいだ。これからもウイスキーの素晴らしさを広める牽引役となってほしい」
★チャールズ・シューマン氏コメント
「レユニオン島というユニークな場所で、才能あふれる多くのバーテンダーに出会えたことは、現役のバーテンダーとして非常に勉強になったし刺激を受けた。ファイナリストのなかには思った通りに力を発揮できたものも、できなかったものもいるだろう。コンテストは一つの通過点。これからも自分の個性に磨きをかけ、さらに精進してほしい」
今回初めて真夏の開催となった「ニッカ・パーフェクト・サーヴ」。非日常的ともいえる環境のなかで、12人のファイナリストはベストを尽くした。興味深かったのは、ほぼすべての「Omakaseカクテル」の色が黄色を主とするブライトカラーだったこと。赤や琥珀色といったダークカラーのカクテルが多かったこれまでの大会とはまったく違うスタイルだった。やはり青く澄んだレユニオンの海が、バーテンダーの考えるレシピにも影響を与えたのだろうか。
それにしても、日本から遠く離れた南半球の島でも、バーやレストランでニッカのボトルが並んでいたのは新鮮な驚きだった。創業80周年のニッカウヰスキーは、これからも進化し、新しい歴史を刻んでいくことだろう。その時、世界中の若いバーテンダーのクリエイティビティが大きな役割を担うことになるはずだ。