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“テクニカルテスト”ではバーテンダーが3名ずつカウンターに並んで同時にマンハッタンをつくる。過去2回のコンテストにはない張り詰めた空気の中、微妙なレシピの違い、氷の量やステアの回数、仕上げにオレンジピールを使うかチェリーを添えるかなど、ほんのわずかな違いで実に個性的な6つの“パーフェクト・ニッカ・マンハッタン”が生まれた。
スイートとドライ2種類のヴェルモットをたっぷりと使った口当たりのよいさわやかなタイプ、2種類のビターを使った奥行きのある味わい、ヴェルモットを別添えにしてゲストが好みの味に仕上げるスタイルなど。定番のカクテルほど実はバーテンダーの個性が現れるということを改めて実感させられるコンテストだった。
ランチを挟んで午後に展開された“Omakaseコンテスト”。昨年同様、ゲストに扮する審査員がバーテンダーに様々なリクエストをする。「スコットランドに来てスコッチウイスキーを飲むのはありきたりなので何か他におすすめは?」、「スイーツの研究に来たパティシエだが、デザートの代わりに甘いカクテルを」、「アーティストの私のために、カラフルなカクテルを」など。
続いてはイギリス代表のアダム・マックガーク氏。コロナ氏のイタリアンムードから一転、ゲストからは「デートをキャンセルされてしまった。何か強い酒が飲みたい気分。」というリクエスト。しかしマックガーグ氏はゲストの話に穏やかに耳を傾け、宮城峡12年のストレートに、ニシンとドライトマト、チーズのおつまみを添えた。
3番目はフランス代表のアモリー・ギヨー氏。カウンターに並んだウイスキーの説明を交えながらゲストとコミュニケーションをとり、各自の好みを的確にキャッチ。それぞれのリクエストに合うカクテルをつくりあげた。オリジナルのシャンパンシロップを持参するなど、さりげなく個性も光らせた。 ドイツ代表のドリーン・フィリップ氏は、卵白、ビターチョコレート、フレッシュオレンジジュースをうまくウイスキーとあわせて3種類のカクテルをサービス。その間常に明るい笑顔で、ゲストとの会話を中断することはなかった。
カクテルの味、テクニック、独創性、コミュニケーションスキル、あらゆる側面からの審査が終了。栄えある「ニッカ・パーフェクト・サーブ2012」の優勝に輝いたのは、フランス代表のアモリー・ギヨー氏。実は、ギヨー氏は昨年フランス予選で惜しくも2位に終わり、「今年こそは」と準備を重ねてきたという。 審査員の1人、サリム・コウリー氏は、「バーテンダーにとって重要なスキルは“聞く力”。 今回の優勝者はその“聞く力”に特に優れていた。皆には今後もぜひその力を養ってもらいたい。」と、参加者全員を激励した。 2位には、ドイツ代表のドリーン・フィリップ氏が選ばれた。ギヨー氏と同様、カクテルのテクニックと共に、“聞く”力が高く評価された。二人には余市・宮城峡蒸溜所視察旅行が贈呈され、来年日本を訪れることになる。
“テクニカルテスト”課題 ニッカ・カフェグレーンを使った 「パーフェクト・ニッカ・マンハッタン」
コロナ氏のカクテル
マックガーク氏のカクテル
ギヨー氏のカクテル
ドリーン氏のカクテル
ハラプコ氏のカクテル
ブバシュヴィリ氏のカクテル
大会が終了し、リラックスした表情のファイナリストたちから得られた声も印象深い。「来年もまた挑戦するよ」「カクテル界のレジェンドであるサリム・コウリー氏から意見をもらえ、光栄です」「他のコンペティションや国家試験には価値を見いだせず、ニッカ・パーフェクト・サーヴだけにこだわって腕を磨いている」などなど。ヨーロッパのバーテンダーたちにとって、2013年のニッカ・パーフェクト・サーヴへのチャレンジは、すでに始まっているようだ。