木曜日から土曜日の夜にDJが入る「ラ・コンセルヴリー」は、30〜35歳がメインターゲットだ。良質なモノを知り、金銭的にも余裕のある世代、しかも若い好奇心にもあふれている。
「2、3年前までは、お客さまにニッカのウイスキーをおすすめすると、まず大きな驚きの反応がありました。日本産のウイスキーが存在することを、フランスの人々は知らなかったのです。それが1年ほど前から状況ががらりとかわり、ほとんどのお客さまがニッカという銘柄を知った上でオーダーするようになりました」
パリにおける昨今のジャパニーズ・ウイスキー・ブームは、実際の消費者レベルで根付いているということだ。とはいえ、聞いたことはあるがまだ試したことはないというゲストも、まだまだ存在する。そんなときアカヴァン氏は、コニサーグラスにウイスキーをストレートでサーヴし、試飲させることを惜しまない。
「なにがどう違うか、言葉で表現することはできなくても、今まで味わったウイスキーとは違う、と皆さん感じるようです。その経験がきっかけとなり、その後ニッカを注文するようになるケースが多いですね」
数あるニッカウヰスキーのラインアップから、同店が置いているのは「フロム・ザ・バレル」、「余市10年」、「竹鶴21年」の3本。その理由を聞いてみた。
「フロム・ザ・バレルは、“ザ・ニッカ”でしょう。パリにおけるニッカウヰスキーの象徴ですから、これはマストアイテムです 。余市10年は、複雑さがほどよく、かつ値段が手頃であることから、これに決めました。あまりにも複雑すぎたり、値段が高すぎたりすると、ウイスキーを知りたいと願うお客さまにおすすめする際、ブレーキになりかねません。
竹鶴21年は、そこからさらに先へと望まれるお客さまにふさわしい1本です。木の香り、深み、なにをとっても最高級です」
さすがはニッカ・パーフェクト・サーヴの優勝者、各ラインアップの魅力を的確に把握している。そんな彼がおすすめするニッカウヰスキーの飲み方は、余市10年で作るクラシックカクテル、オールドファッションだ。
「余市10年のバランスの良さが、特に気に入っています。ウイスキーカクテルの定番をこれで作ると、その魅力がよくわかります 」
現在、彼の店でニッカを注文するゲストの95%が、ストレートで飲むことを選んでいる。ウイスキーそのものの個性を、ピュアに味わうことが今の段階。その次の段階に、カクテルや水割りといった楽しみ方が待っているのだろう。ともあれ、自らニッカファンを名乗るバーマンが、パリにおけるニッカウヰスキーの流行を支えていることは間違いない。今後の展開が気になるところだ。
●データ
LA CONSERVERIE
37 bis, rue du Sentier, 75002 Paris
Tél. +33(0)1 40 26 14
http://www.laconserveriebar.com/