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カフェ文化、ワイン文化が華開くパリでは、「本格バー=ホテルのバー」という認識が一般的だ。カフェやブラッスリー、ワインバー、あるいはレストランのウェイティングバーでもアルコールを飲むことはできるが、いわゆるバーマンがシェイカーを振るう本格バーとなると、どうしてもホテルのバーということになる。そんなパリでいま注目を集めているのが、オペラ座近くに構える「ホテル・スクリブ」のメインバー「カフェ・リュミエール」だ。 「ホテル・スクリブ」の創業は1861年。通りに面して「グランド・カフェ」が設けられ、ここにはボードレールやプルースト、ヴェルディなど当代一流の芸術家たちが集った。第二次世界大戦末期には、あのヘミングウェイやロバート・キャパ、アンリ・カルティエ・ブレッソンらの顔もあった。また同ホテルはジョセフィン・ベイカーの定宿だったことでも知られている。そんな由緒ある歴史にさらなる華を添えるのが、映画の生みの親として知られるリュミエール兄弟である。1895年12月28日、彼らはまさにこの「ホテル・スクリブ」の地下フロアで、世界初となるシネマ(映画)を上映したのだ。 ホテル自体は2008年9月に大規模な改装を経てリニューアルオープン。その際、従来のレストランスペースも一掃され、リュミエール兄弟にオマージュを捧げる空間「カフェ・リュミエール」として生まれ変わった。店内にはリュミエール兄弟の写真や当時上映された映画のプリントが飾られ、約100年前にこの場所で行われた歴史的偉業を讃えている。そしてこのスペースの顔として開発されたのが、今回紹介するキット・カクテルというわけだ。
地下フロア