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石垣氏コミュニケーションテクニックで印象に残るのは、ボディアクション。相づちをとる姿勢も明確で、接客を受けると、当然会話もはずむ。このあたりも、参考にしたい。
石垣:
菅谷さんの著作でもうひとつ気になったのが、「人は、話すことによって癒される」ということです。
菅谷:
これはカール・ロジャースという心理学者が言った有名な言葉です。「話す」ことは、問題を「放す」ことでもあるのです。心理カウンセラーは、徹底的にクライアントの話を聞きますよね。話の内容はともかく、話を聞くだけで、問題が解決されることが多いからです。
石垣:
確かにトップバーテンダーには、聞き上手の方が多いような気がします。
菅谷:
下手に話に突っ込んだり、無理に分かったフリをする必要はありません。それよりも、いかにお客さまに楽しく胸の内を話してもらうか、これが重要ですね。
石垣:
では、聞き上手になるには、どうしたらいいのでしょう。
菅谷:
アマチュアのコミュニケーションとしては、話を理解すればOKです。でもプロのコミュニケーションとしては、話を理解したことを相手に伝えなくてはなりません。例えば、うなずきであったり、相づちであったり、リフレクティング(オウム返し)であったり……。まずは「自分が聞いているんですよ」という意思表示をすること。それを意識してコニュニケーションしていくことが、聞き上手への近道なのではないでしょうか。
石垣:
恐らくほとんどのバーテンダーは、接客やサービスを自らの経験から身につけてきたと思うんです。私と同じように失敗と実践を繰り返しながら、とにかく自分なりのやり方を築き上げてきた。菅谷さんの著作を読むと、そういう普段の接客で何気なくしている動作や所作に、これだけきちんとロジックがあったんだ、ということを改めて思い知らされます。このNLP理論を通して、もう一度「意識して」接客をしてみることが、さらなるスキルアップに繋がるのかもしれませんね。