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石垣:
接客というと、我々バーテンダーもいろいろと頭を悩ませている部分ですね。というのも、今はお酒に関する選択肢が非常に多様化した時代です。別にバーじゃなくてもお酒は飲めるわけです。居酒屋でも、カフェでも、レストランでも……。コンビニに行けば、いろんな種類のお酒が簡単に手に入ります。そんななかで、バーにはお酒「+α」が求められているように感じます。その「+α」という付加価値には、当然、接客やサービスも含まれます。ですから菅谷さんの著作を読ませていただいて、改めて気づかされることが多々ありましたね。
菅谷:
具体的に、どのあたりが気になりましたか?
石垣:
特に興味を引かれたのは、お客さまとの位置関係ですね。バーの場合は、基本的にカウンターを挟んでお客さまとの対面になります。菅谷さんの著作でいうと、Aのポジションです。でも、このポジションですとお客さまと「対立の関係」になってしまうんですよね。カウンターを挟んで対面する場合には、どのような位置取りを心がけたら良いのでしょうか?
菅谷:
カウンターを挟んでいるといっても、さすがにお客さまの真正面に立つと、お客さまは圧力を感じてしまいます。ですから、正面を少し外し、やや斜めに向き合うポジションがいいでしょう。これはBのポジションになります。しかし、お客さまとの距離が最も縮まるのは、Cの斜め90度のポジションです。
石垣:
でも、これは普通のバーでは難しいですよね。
菅谷:
例えば、カウンターの上にボトルを置いて、ボトルを見ながら会話をするなどして工夫してみてはいかがでしょう。斜め90度とまではいきませんが、お互いの距離が近づき、そのうえ適度な空間ができると、Cに近いDのポジションになります。同じベクトルに視線をもっていく、というのも親近感アップに繋がりますしね。
石垣:
なるほど。参考になります。実際に仕事をしていると、カウンターにお客さまが1人、バーテンダーが1人という状況は稀かもしれませんが、こういったベースになる理論を理解していると、応用もしやすくなりますね。