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ニュースリリース

平成16年9月8日

アサヒビール(株)酒類研究所・鰐川彰、
平成16年度『日本醸造協会技術賞』を受賞

「ウイスキーの個性的香気形成に及ぼす乳酸菌の影響」の研究に関して

アサヒビール株式会社

 アサヒビール株式会社(社長 池田弘一、本社 東京)の商品技術開発本部酒類研究所の主任研究員・鰐川彰(わにがわあきら)が、「ウイスキーの個性的香気形成に及ぼす乳酸菌の影響」に関する研究により、財団法人日本醸造協会より平成16年度『日本醸造協会技術賞』を受賞しました。9月7日(火)〜9日(木)に東京都内で開催中の平成16年度日本醸造学会大会で、授賞式及び受賞講演が行われました。(授賞式及び講演は9月7日に実施。)

 財団法人日本醸造協会は「醸造に関する科学、技術研究とその振興を図り、もって醸造業の進歩発展に資する」ことを目的に明治39年(1906年)に設立(大正4年に改組)され、醸造に関する学術研究、醸造に従事する者の養成、雑誌や図書の発刊など活動を行っています。醸造に従事する者の養成、技術の振興を目的とした顕彰事業の一環として、昭和49年(1974年)より、醸造技術の発展に寄与した者に『日本醸造協会技術賞』を授与してきました。

 今回、鰐川が受賞することとなった研究「ウイスキーの個性的香気形成に及ぼす乳酸菌の影響」は、乳酸菌が醸造段階において一定条件下で関与することにより、ウイスキーの甘い香気成分であるラクトン類の生成に関与することを発見し、その生成メカニズムを解明したものです。
 乳酸菌は、ビール等の発酵段階に関与した場合、酵母による良好な発酵を阻害し、ネガティブな影響を与えることで知られています。一方で、モルトウイスキー製造においては、従来から経験的に、香味にポジティブな影響を与えることが指摘されていましたが、具体的にどのように関与するかについてはまったく明らかになっていませんでした。研究では、乳酸菌が発酵の後工程において、ウイスキーの重要な香気成分のひとつでリラックス効果があるとされるラクトン類の生成に重要な関わりをもっていること、さらに2通りの生成メカニズムについて解明しました。

 一般にウイスキーは樽貯蔵によって甘い香気がつく付与されるといわれますが、貯蔵前であっても、乳酸菌が関与することで甘い香気成分の代表であるラクトン類が生成されていることがわかりました。アサヒビール(株)では総合酒類事業展開を行い、研究開発においても酒類カテゴリーを横断した研究活動を進めています。今回の研究成果も、ウイスキーと、ビール等他の醸造酒といったカテゴリーを超えた醸造技術研究から生まれたもので、今後、ウイスキーのみならず他の酒類製造に関して乳酸菌を有効に利用し香味を高めることや、ラクトン類を付加した新たな酒類の開発への可能性を示すものと考えられます。



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