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お酒を飲んだ後の血液中のアルコール濃度は推定できるのでしょうか?

お酒を飲んだ際、血液中のアルコール濃度がどのくらいになっているのか、どのくらいで身体から無くなるのか、興味がある方も多いかと思います。インターネット上で、アルコールの摂取量(飲酒量と飲んだお酒の度数から計算します)と体重が分かれば、概算で血液中のアルコール濃度を算出する式が掲載されています。その式が下記のものです。

アルコール血中濃度(%)
飲酒量(ml)×アルコール度数(%)/833×体重(kg)

血液のデータをチェック!

それでは、実際に空腹のまま飲酒をするのと、軽食を食べながら飲酒をした場合に、血液中のエタノール濃度やアセトアルデヒド濃度がどのようになっていくのかを見てみましょう。40〜50歳代の男性が市販のビールおよび焼酎甲類(アルコール度数:16度)を空腹の状態で飲んだ場合、軽食と一緒に飲んだ場合の血中エタノール濃度を調べてみました。(飲酒量は体重当り同じ量になるように、体重が60kgのヒトでビール460ml相当のアルコール量を飲んでいただきました)(文献1)

データ1 お酒を飲んだ後のアルコール濃度

図1のように、空腹の状態で飲んだ場合は推定値とだいたい同じレベルになっていましたが、お酒に強いタイプがビールを飲んだ場合は推定値よりも低めに、お酒に弱いタイプが焼酎甲類を飲んだ場合は推定値よりも高めになりました。この結果を見ると、あくまで平均値としては推定値も使えそうな気がします。しかしながら、図2のように食事をしながらお酒を飲んだ場合では、推定値よりもかなり低くなることが分かりました。

図1.空腹時に飲酒した場合の血中エタノール濃度(最高値)

図1.空腹時に飲酒した場合の
血中エタノール濃度(最高値)

図2.軽食と一緒に飲酒した場合の血中エタノール濃度(最高値)

図2.軽食と一緒に飲酒した場合の
血中エタノール濃度(最高値)

図3.空腹時にビールを飲んだ場合の血中エタノール濃度の個人差(20名分の値)

図3.空腹時にビールを飲んだ場合の
血中エタノール濃度の個人差(20名分の値)

ここがポイント!

お気付きの通り、この推定値というのは、あくまで空腹の状態で飲酒した場合にのみ当てはまる式なのです。しかし、実際に飲酒する際に、何も食べずにお酒を飲み続けることはあまりしないと思いますので、実際の血中アルコール濃度は、この推定値で算出した値よりもかなり低い値であるといえるでしょう。食べながら飲んだ場合は、おおむね推定式から出した値の6割程度になっているかと思います。ただし、上記に示した値はあくまで平均的な値を示したもので、実際には個人差があります。上記の飲酒試験での個人差がどのくらいあったかといいますと、上の図は、20名のそれぞれの値をプロットしたものです。高い人と低い人とではエタノール濃度にかなりの違いがあることがお分かりいただけることかと思います。(文献2)

(文献1)
大嶋俊二ら:適量飲酒における諸飲酒条件がアルコール代謝動態に及ぼす影響−酒類,ALDH2遺伝子多型ならびに食事の有無での比較−,日本アルコール・薬物医学会雑誌,46,357-367(2011)
(文献2)
Oshima S et al.: Individual differences in blood alcohol concentrations after moderate drinking are mainly regulated by gastric emptying rate together with ethanol distribution volume, Food and Nutrition Sciences, 3, 732-737(2012)

※使用したデータは全て日本医科大学とアサヒグループホールディングスとの共同研究によるものです。