お酒の分解能力は遺伝する
お酒を飲んだときに発生する有害物質アセトアルデヒドは、体内の「ALDH(アルデヒド脱水素酵素)」によって分解されます。ALDHには、アルデヒドが低濃度のときに働く「ALDH2」と、高濃度にならないと働かない「ALDH1」があります。
「ALDH2」の活性が弱いか欠けていると、アセトアルデヒドが貯まりやすく、「お酒に弱い体質」になります。この酵素の活性は遺伝子によって異なるので、私たちは両親からお酒に「強い」か「弱い」かを受け継ぐことになります。ただし、アルコールで全身の臓器に障害をきたすのは、むしろ「お酒に強いといわれる体質」の人なので注意が必要です。 また、ALDH2が完全に欠けている人は、いくら訓練してもお酒に強くなることはありません。
日本人はお酒に弱い人種
人種 | ALDH2欠損率 |
---|---|
日本人 | 44% |
中国人 | 41% |
韓国人 | 28% |
フィリピン人 | 13% |
タイ人 | 10% |
インド人 | 5% |
ハンガリー人 | 2% |
ナバホー人 (アメリカ原住民) |
2% |
ドイツ人 | 0% |
イスラエル人 | 0% |
エジプト人 | 0% |
ケニア人 | 0% |
スウェーデン人 | 0% |
フィンランド人 | 0% |
お酒が苦手な日本人が多いことは、科学的にも証明されています。その原因は、アセトアルデヒドを分解する酵素である ALDH2の欠損です。
日本人の約44%は、ALDH2を持たないか、その働きが弱くアセトアルデヒドが貯まりやすいのです。この遺伝的性質は、日本人などのモンゴロイド特有のもので、アフリカ系やヨーロッパ系の人種には見られません。
お酒の強さは性別・年齢・体格でも異なる
お酒に対する強さは、一人ひとり違います。
例えば、女性よりも男性の方が、年輩の人よりも若い人の方が、アルコール分解能力が高いとされます。また、体重の重い人と軽い人が同量のお酒を飲んだ場合、重い人の方が血中アルコール濃度が低くなるため、酔いにくいといえます。 やはりお酒は、周りの雰囲気に流されず、自分のペースで飲むことが何よりも大切です。