「コミュ力」という言葉に惑わされるな。スマドリと考える「自分らしさ」の伝え方。 「コミュ力」という言葉に惑わされるな。スマドリと考える「自分らしさ」の伝え方。

寺口
本日はよろしくお願いいたします。株式会社ワンキャリアの寺口です。
普段はEvangelist(エバンジェリスト)という仕事をしていて、「人の数だけ、キャリアをつくる。」をミッションに、みんなが自分らしく仕事を選べるためのキャリアデータプラットフォームを運営しています。
大橋
アサヒビール人事総務部の大橋と申します。
2021年にアサヒビールに新卒で入社して今年で3年目、この春から4年目になります。昨年の9月に人事総務部の採用担当になりました。
萩野
アサヒビールスマドリマーケティング部の萩野と申します。
スマートドリンキング(=スマドリ)の担当をしており、飲める人も飲めない人もみんなが楽しめる新しくて楽しいお酒の生活文化をつくっていく仕事をしています。
寺口
とても壮大なテーマの仕事ですね!見えない敵と戦っている感じがすごいですね。
飲みの場に存在する「同調圧力」って確かに感じる方はいますよね。「あの人があれ飲んでるなら、私もそうしなきゃ。」みたいに。
大橋
ほんとですね。私は、お酒強くはないですが、お酒の場は好きです。
そこにあることで、人と人とを繋ぐことができる等、色んな意味でお酒の力に魅力を感じて、この会社に入社しました。
今日はよろしくお願いします!

そもそも「コミュ力」ってなに?

-大切ってことはわかるけど、
結局どうしたらいいんだろう。-

寺口
早速ですが本日のテーマの「コミュ力」について話していきましょう。
お二人は「コミュ力」と聞いて何を思い浮かべますか?
どういう時に発揮するモノなんだろうとか、ご自身の体験でも結構です。
大橋
初めて会う方とコミュニケーションをとる場面などが最も想像しやすいのかなと思います。
お互いのことを知りたい!という気持ちを、相手への配慮を忘れずにどう伝え合うか、とても大事だからこそ、とても難しいなって率直に思います。
コミュニケーションをとりたいけどどうしよう!と迷う状況の中で、一歩アクションできるかどうかの「勇気」が大切なのかなとも思います。
寺口
例えば電車の中で席を譲っても、嫌がられたらどうしようみたいな時ですかね?
大橋
そうですね。そう言った意味では、未来をあれこれ考えすぎてしまって行動できない人って多いのかもしれませんね。
寺口
なるほど。
コミュニケーションにおいて「勇気」っていうのは大事かもしれないですね。
萩野さんはどうでしょうか?
萩野
その時々に応じて相手の顔色を伺いながらコミュニケーションを取る能力が、コミュ力のベースになるのかなと思います。先ほど「配慮」みたいな話が出ましたけど、盛り上げなきゃいけない時にきちっと盛り上げられたり、相手がちょっと怒っている時には逆撫でしないようにする等、相手の顔を伺いながら適切な伝達ができる能力って、非常に多くの場面で重要になりますよね。
寺口
確かにそうですよね、仕事でもプライベートでも相手がいる場でコミュ力は大事になってきますよね。
配慮、勇気、マインドなどが、キーワードなのかもしれませんね。

「コミュ力」ってなに?
学生に聞いてみました

-大切ってことはわかるけど、
結局どうしたらいいんだろう。-

寺口
学生に「コミュ力ってなんだと思いますか?」というアンケートをとっているので少し見ていきましょう。
  • 人と対話できる力。コミュニケーションを通して相手と打ち解けたり自分を表現したりする能力。
  • 自分の想いや感情を相手に言葉、言語化して伝えることができる。それを初対面でも、性別関係なく話すことが出来る人。
  • 相手を不快にさせない会話ができる能力。
  • 対等な姿勢で自分の伝えたいことを正確に伝え、相手の言いたいことを正確に聞き取る能力。
  • かかわる人に好意的な印象を与える能力。
  • 相手の本音を引き出す能力と自分への印象を相手に与える能力。
大橋
やっぱり皆さんスキルや能力のことだと思ってるんですね。
「やらなきゃ!頑張らなきゃ!」みたいな感じが伝わってきますね。
寺口
そうですね。
プレッシャーを抱えている感じはしますね。
これから新しく身につけなきゃ!みたいに考えてることが想像できますね。
萩野
学生さんって、聞いたことをアウトプットする力を結構大事にしていると思っていたんですけど、意外にそれって入ってないんですね。
授業を受けてそれを自分の言葉で表現するみたいなことも、私はコミュ力の一つだと思っていたんですが。
寺口

たしかに。情報を入れて情報を整理する、それを相手に正しく伝えるっていうのは、実際のビジネスシーンにおいては、とても重要だったりしますよね。

学生さんのアンケートを見ると、「正確」っていうのは一部しか出てきてなくて、好意的な印象とか相手が本当はどう思ってるかとか、自分の印象や情報の正しさというよりは、相手の目線をかなり気にしすぎてしまっている可能性もあるんじゃないかなと感じましたね。

そもそも「コミュ力」の定義がバラバラということに加えて、大学生や就活生ならではの「特に不安を感じる部分」があるのかもしれませんね。

人事の立場から見る
「コミュ力」とは?

-ほんとうに聞きたいことを聞いているのか。-

寺口
大橋さんは、人事という立場で学生さんとコミュニケーションをとる中で思うことってありますか?
大橋

説明会などでよく質問をいただくんですが、本当に自分が伝えたいというよりも、相手に失礼がないようにとか、ちゃんとしなきゃって思っているのは感じますね。
内容というよりもどう聞くかが大事みたいに考えているのかもしれません。

それも大事なことだと思うんですけど、なんか目的が変わってしまって「聞く」こと自体が目的になってしまってる?と感じることはあります。

寺口

さっきの「印象」の話と似ていますね。
自分は積極的に質問できる学生なんですよっていう印象を与えるために聞いていると感じることがあるということですかね。

私もさまざまな人事の方とお仕事をしていますが、学生さんにもっと自然に話してほしいなって悩んでいる人事の方は、かなり多い印象があります。もっと本音で語り合いたいのに、と。

大橋
ありのままの自分を出して、本当に聞きたいことをそのまま聞いてくれたらいいのに、と思うことはありますね。
寺口
そうですよね。
「本当に聞きたいことなのかな?」と思われること自体が、その時点でコミュニケーションとして失敗している可能性もありますもんね。
もっと自然さを出す能力をつけるんじゃなくて、いつも通りやってほしいってことですよね。
ぜひ、このあたりはフラットな目線で萩野さんにも伺いたいですね。

コミュニケーションって
やっぱり不安

-HowよりWhat、
言葉のキャッチボールをしてみよう。-

寺口
萩野さんはスマドリというプロジェクトを通じて、若い方ともコミュニケーションをとっているとは思いますが、ここまでの議論についてどう思いますか?
萩野

大学にお伺いして、適正飲酒のセミナーをしたり、スマドリに関するワークショップをする中で、まさにこの点感じることがあります。

例えば、学生たちとグループワークを行う中で、積極的にリードする学生がおらず、場がシーンとなっていることはよくありますね。もちろんこちら側が仕切りきれていない側面もあるとは思いますが(笑)。
みんなメモは一生懸命とってくれて考えているんですが、それを口に出して発表する学生の数が比較的少ないというか。

寺口
なるほど、そういった不安は確かにありそうですね。冒頭お見せした「学生の声」を聴取した際に、「コミュニケーションに不安がありますか?」とアンケートをとったところ、「就活:79%がYes」、「飲み会:64%がYes」という結果でした。
萩野
飲み会に不安があるんですね。私の若い頃は、飲み会って聞くと無条件に喜んで行ってましたけど(笑)。ただ、スマドリのプロジェクトを通じてこういったことは感じておりますし、だからこそスマドリを通じてこういった不安を取り除けないかなと考えております。
寺口
そうなんですね、逆になぜ不安なのかを深掘っていきたいですよね。
飲み会ってやっぱり楽しい場であるべきだし、不安をどう取り除けるか考えていきたいですね。
一方で、就活に関してはほぼ8割の学生が不安に感じていますね。
追加で「どういった場面でコミュニケーション能力が必要だと思うか?」という質問もしているので、学生の回答を見ていきましょう。
  • 人と打ち解けて信頼を得る必要性がある場面と、議論で建設的な結論を出す必要がある場面。
  • 面接で自分のPRポイントを主張する時。
  • 難しい質問にスムーズに答えなければいけない時。
  • オンラインのグループワーク。
  • 意志疎通が図れず会話の成り立たなさに呆れた経験のあるオンラインのインターン。
  • プレゼンテーションで商品の魅力を伝えたり、作業の手伝いを頼む際など、人に何かを訴えかける場面。
  • 新しい環境に足を踏み入れた時。コミュ力によって相手に与える自分の印象(信頼できるか等)が変わるから。
寺口
不特定多数の人がいるときや初めましての人がいるとき、新しい環境に変わったときに必要と感じているんですね。
大橋
就活の観点から考えるとまさにさっきの議論にあった通り、目的を本質的に捉える必要があると思っています。就活の最終ゴールが、「内定をもらう」になっていて、それを念頭に置いてコミュニケーションを取っている学生も多そうですね。
寺口
そうかもしれませんね。ちなみに、大橋さんが学生の頃はどうでしたか??
大橋

私自身も就活の初期はそんな感じでしたね。就活を進めていくうちに、自分の言葉で喋れなくなってくるんですよね。でも、思ってないことを話し続けるのってかなりつらくて、話もそれ以上のものが出てこなくて。

ただ、そうやって進めていく中で、面接で大失敗したんです。とりあえず大きい企業を受けよう!ってなった時に、そこでじゃあ何をしたいのか、が全く出てこなくて、面接中に黙り込んでしまいました。

寺口
どう伝えるか、それ以前にその企業に気持ちがなかったということですかね。
大橋
マインドっていうところに戻るかもしれないんですけど、やっぱり本当に思ってないと、本音の言葉は出てこないんだと思います。
寺口
今は逆の立場にいると思いますが、学生さんが目の前で緊張していて本当のことを言ってくれてなさそうだなと思う時ってどうされていますか?
大橋
断片的に思いを汲み取って、この話もうちょっと聞かせてみたいな感じでこちらからコミュニケーションをとっていきますね。こちら側の「コミュ力」が問われる瞬間でもありますね。
萩野
「言葉のキャッチボール」って、大事だなって改めて思いました。面接とかも、結局「言葉のキャッチボール」の延長線だな、と。
150%くらいで返そうと思ってしまうかもしれないけれど、別に10%でもどんどんキャッチボールすればいいのになって思いました。
そうやってキャッチボールしていく方が、自然な自分を表現できるんじゃないかな。
寺口
どう伝えるかっていうよりも、何を聞きたいかとか、何を伝えるかとか自分はこう思うんですけどみたいなのが大事ですよね。
「What」ではなく「How」にいきすぎてしまって、自分でコミュニケーションを難しくしてしまっているのかもしれないですね。

自己分析ってどうやってる?

-自己分析こそ、人の目線も借りてみよう。-

寺口
就活における大事な要素として、自己分析ってよく話に上がりますよね。ちなみに大橋さんは学生の頃どうされてました?
大橋
私の学生の時はコロナウイルスの影響もあり、コミュニケーションがとれる友達も限られていました。なので、黙々と自分で自分を分析していましたね。「主観」だけで進んでいたので、ある時壁に当たりました。
寺口
分析と主観って、一番相性悪いですね。その時って、楽しかったですか?
大橋
全くと言っていいほど、楽しくなかったですね。もはや辛かったです。
その当時私は一人で就活してたんだなって思います。
先ほどの面接の大失敗の頃くらいに、そう言ったことにも気づいてからは、オンラインではあるけど友達といろんな話をして、一緒に自分を振り返ってもらって、あんなことあったなこんな自分いたな、って幅が広がったような気がします。もちろん私も相手の振り返りを一緒にやりました。
寺口
なるほど。もしかしたら、そういう「上手に崩す」が難しいのかもしれませんね。頭でっかちにならない能力もまた重要なのに。
もっとリラックスして、自分らしく、他者を頼っていいんじゃない?って思います。
萩野
深く考えずに気軽にやるのがいいのかもしれないですね。
さっきのワークショップの時にも話しましたが、もっと気軽に発言や表現をしたらいいのに、と思います。
学生の皆さんもありのままの自分でいてもらって、自分の価値観に沿って企業を選んだりとか、キャリアを選択してもらうってことが大事なんだろうなって思います。
寺口
私たちが学生の時って友達に自分がどういう人間か聞いたりしませんでしたか?
自己分析って難しいものじゃなくて、ただただ他者との関わりの中で感じる、分かっていくっていうのでいいと思うんです。
自己分析ではなくて自己理解みたいな感じですね。
萩野
分析って言葉よくないですね。重く感じます。
私も周りの人に自分のことを聞いていたタイプで、友達は自分のことをよく理解しているので、友達に言われて初めて気づく自分の強みや弱みもありました。当時は当たり前のように感じてはいましたが、今の時代では難しくなってきているのかもしれません。
今後、スマドリを通してこういった場をつくっていきたいですね。

自分らしく。ありのままで。

-スマドリと考える「自分らしさ」の伝え方。-

寺口
今までの内容って「飲み方を、もっと自由に、もっと自分らしく。」のスマドリの世界観と、とても通ずる気がしますね。
萩野
そうなんです。「気軽」ってすごい大事で、オープンマインドに自分を開示してもらって、友人とか親族の方とか、親しい人と相互に会話を繰り返すことで、気づくことってたくさんあると思ってます。
大橋
学生の頃の私自身が悩まされたことも含めてですが、人事担当者としては、「内定」ってもちろん大事な要素ではあるけれど、どこまでいっても「本当に歩みたいキャリアや人生ってなんだろう」を本音で問い続けることが、重要だと思ってます。
自己分析もそうですが、やっぱりこういうことって1人だと結構悩んじゃうから、相互に、そして気軽に楽しく話し合ってほしいなって思います。
萩野
本当にそう思います。今我々がやっているスマドリも、「飲み方を、もっと自由に、もっと自分らしく。」を伝えているので、それこそ友人と話しながら自分の好きなドリンクを手に取ってもらう。そして、ある人は開放感を、ある人はリラックスを、ある人は爽快感を、それぞれ自由に感じながら、ありのままの自分でコミュニケーションを取っていただきたいなと思っています。
寺口
みんなが楽しくコミュニケーション取れればいい!って気軽に考えると、そもそも飲み会の席をどうやって楽しくしようかなんて、わざわざ気にしなくていいですもんね。
就活もそうですが、「どうやって?」を考えすぎてしまうから、もったいない気がしますね。気軽にやってみれば人事の人も答えてくれるし、ありのままの自分が表現できる。それでいいと思うんですよね。
萩野
おっしゃる通りで、就活とスマドリの考え方って似ています。飲み会の席で飲み物を周りに合わせる必要はないですし、自分の飲みたいものを飲んで楽しめばいいと思うんですよね。
就活も一緒で、周りに合わせる必要なんてなくて、ありのままの自分で、企業や人事担当者と向き合っていく方が絶対いいと思います。
寺口

お酒を飲めない人にとっても、飲む人にとってもすごくいい時代になってますよね。
「コミュ力」って言葉が一人歩きしてしまう時代だからこそ、その言葉にとらわれすぎず、スマドリ的な考え「もっと自由に、もっと自分らしく。」が、就職活動における精神的な指標の1つになり、みんなが相互に、そして気軽に会話するシーンが増えるといいですよね。

萩野さん、大橋さん、貴重なお話をありがとうございました!