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「アサヒ ラグビースクール」第5弾は大阪府八尾市へ
「コンタクト」レベルの高さに驚いた!
ラグビーワールドカップイヤー最初のラグビースクールがスタート

八尾ラグビースクール
(大阪府・2023年1月9日)

第59回全国大学ラグビーフットボール選手権大会の決勝を終えた翌日、2023年1回目の「アサヒ ラグビースクール」が開催されました。「アサヒビール・ラグビーアンバサダー」の五郎丸歩さんと、今回のゲストコーチであり、地元東大阪出身のラグビー元日本代表の大西将太郎さんから指導を受けることになった幸運なチームは、大阪の「八尾ラグビースクール」です! 40年の歴史を持ち、幼児・小学生・中学生まで約150人の子どもたちが所属して、全国大会にも出場している名門チーム。

冬晴れのもと、朝9時頃に広大な人工芝コートへと続々と集まってきたのは、小学生から中学生までの約50人の選手と保護者、そして五郎丸さんの指導を一度受けたいというOBの大学生の姿も見受けられました。

練習風景

開催2日前に、五郎丸さんたちが指導者だと知った!

1月末に開催される、ミニ・ラグビーの全国規模の交流試合「ヒーローズカップ」の関西代表として出場が決まっている小学6年生の男子は、「今日はラグビー教室があると聞いていたけれど、2日前に五郎丸さんや大西さんが来ることを親から聞いて驚きました。めったにない機会だからうれしい。いいキックができるコツが知りたい」と、やや緊張な面持ちで答えてくれました。キャプテンの男の子は、「司令塔としての大切なことなども聞きたい」とのこと。保育園や小学校1年生の頃にラグビーを始めた小学校4年生の女子たちは、「試合でパス回しをするときに、頭で考えながらコントロールするのが楽しい」と大人顔負けの口調でラグビーの魅力を教えてくれました。苦手意識があるのは、「タックル」。「男子相手だと恐怖心で逃げ腰になってしまうので、その克服方法を教えてほしい」とのことでした。

子どもたちが早くから集合していたこともあり、開始時間を早めて五郎丸さんと大西さんが登場。ちょっぴり緊張気味の子どもたちや、保護者の前で五郎丸さんは、「今年はフランスでラグビーワールドカップ2023があります。日の丸を背負う選手たちをぜひ一度観て応援してほしい。いつかここから赤と白のジャージを着る選手が現れることを楽しみにしています。実は、君たちのことを昨年の菅平の合宿で見ていました。小学生は『ヒーローズカップ』に出場するんだよね。うちの息子も出場するので対戦相手として当たらないことを祈っています(笑)。今日はアットホームな雰囲気の中、積極的に質問しにきてください」と挨拶し、場の雰囲気がほぐれました。大西さんは地元のみんなに教えることができるうれしさを伝え、「何でもいいから夢を持ってほしい。友達をたくさん作って、ラグビーを楽しんでください!」と話してくれました。

練習風景 練習風景

タックルはレスリングの動きがポイント

早速、小学生と中学生がコートに分かれ、練習開始です。最初は五郎丸さんが中学生のコートへ。大西さんが小学生のコートに入ります。中学生の選手たちのコートでは、ウォーミングアップの後、スピード感がある「アタック&ディフェンス」の練習が始まりました。動きをじっと見ていた五郎丸さんは早速、「最初の1歩、2歩が速く出る選手の違いはなんだ?」と選手たちに問いかけます。そして練習を止めて、「肩の向き次第で、1歩が前に出る速さが変わる」と自ら手本を見せながらアドバイス。「肩の向きを意識しながらやってみよう!」と練習を再開し、子どもたちの動きが変わりました。

「タッチフット」の練習では、「今のプレーはペナルティだよ、分かる?」と選手に自らの動きを認識させたり、ディフェンスが走る位置を確認したりしました。「ブレイクダウン」の練習では、「いい?ゲームをイメージしてみて。ブレイクダウンをした選手は次どう動けばいい?間違ってもいいから言ってみて」と選手たちに考えさせ、意見を言わせるスタイルで指導します。「ブレイクダウンでどうやったらもっと早くボールを出せる?考えて。はい、もう一回同じメンバーで行くぞ!」と何度もプレーを繰り返すうちに、選手はどうしたらボールを早く出すことができるのか、必死になっていきました。「声をかけろ!」「早く早く!」「すぐに行け」と、周りで見ていた選手たちの声かけも自然と大きくなっていきます。

「はい、集まって」と再び選手たちを集め、「いいか、ブレイクダウンで大事なのは自分の前にスペースを作らないこと。つまり、タックルしたまま前に押して相手と一緒に倒れる。一緒に倒れないと、上体が立っているのでほかの相手に自分が押し倒されてしまう」と五郎丸さんがアドバイス。選手たちの動きは、相手にタックルしたあと、そのまま押し倒す形へと徐々に変化していきました。

その後、小学6年生のグループに移動した五郎丸さんは、体格が小さくても相手を倒せるタックルのコツを伝授。「レスリングの動きのように、タックルするその瞬間に膝を地面に着いてかがむと、相手の視界から一瞬自分の姿が消えるでしょう。姿勢も低くなるので前に押し出して踏ん張る力にもつながる」という指導に子どもたちは耳を傾けていました。

練習風景 練習風景 練習風景 練習風景

成人式を休んでキックの指導を受けに来たOB

中学生のキックの基本練習は、大西さんが指導しました。距離が離れるほど、キックしたボールは高く浮きがちなので、フラットな高さにキープしながら速いスピードで前に飛ばす方法として、3つのポイントを教えてくれました。①キックするときは「膝から下」を意識する②蹴る瞬間は腹筋(コア)に力を入れる③キックするときのボールは真下に落とすように意識する。キックに苦手意識がある選手も、思い通りの方向へ飛ばそうと一生懸命。選手たちのユニフォームに書かれた名前を見て呼びながら、1人ひとりに「いいよ、今のイメージで!」などと声をかける大西さんの姿も印象的でした。

中学生への「プレースキック」の指導は、みんなが楽しみにしていた五郎丸さんの出番です。キッカーを担当する小学生も見学に集まってきました。50mほど離れたポールを標的に自ら手本を見せながら、「大事なのは、ボールを飛ばしたい方向へ自分の体を前に進めること。僕は8割の力でボールを蹴ります。蹴った後はそのままボールが飛んだ方向へ自分の体も進んでいく、そんな力のイメージで。そうすれば左右の体のブレが少なくなる」「右足でボールを蹴るとき、右足と一直線になるように反対の手の左手を振り上げ、その手を前方へ振り降ろすようにするとキック力が増します」などと教え、それを実践する子どもたち一人ひとりにアドバイス。成人式を休んでまでラグビー教室に参加した大学生のOBも念願の五郎丸さんにフォームを見てもらい、スマホ撮影した動画を一緒に見ながら指導を受け、とても満足そうでした。

こうしてあっという間に2時間の練習は、アットホームな雰囲気の中で終わりました。

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「いいイメージ」も「負けたときの悔しさ」も大事

集合して質問タイムが始まると、小学校中学年の男子が「どんな努力をすればいいですか?」と早速質問。「僕は幼い頃、目の前にいた兄を超えるために練習していました。憧れるスター選手もいいけれど、年が近い選手を目標にするといいかもしれません」と五郎丸さん。「体を大きくするための方法は?」との質問には、「高校では67キロでしたが、大学1年生のときにご飯をいっぱい食べて15キロ増やしました」と大西さん。五郎丸さんも体重を増やしたのは大学時代。「朝昼晩晩」の1日4食で、夜はご飯2合、納豆3パックを食べて12キロ増に成功したと回答。「朝、めっちゃ胃もたれしていましたけどね」と笑いを取りながら、トレーニングや睡眠も大事だが、「しっかり食べることが大事」と強調し、「しっかり食べて栄養を取らなければ、過酷な練習を乗り越えるトップアスリートにはなれない」とも話しました。

「記憶に残っている試合は?」との質問には、大西さんは夢だったラグビーワールドカップに出場したことを挙げ、五郎丸さんは高校2年の花園での全国大会で自分のミスで負け、同じチームで3年生だった兄を勝たせてあげられなかったエピソードを紹介しました。「いいイメージも大事だけど、負けたときの悔しさも原動力になるので大事だと思う」と教えてくれました。

「練習中に大切にしていることは?」との質問には、「負けないという気持ちかな。自分が練習中に諦めればメンバーに迷惑をかけます。選択肢は『戦うしかない』になるよね」と五郎丸さん。大西さんは「何のための練習かを考えること。コーチは何のためにこの練習をさせているのかなと考える癖をつければ、コーチが『試合で使いたいな』と思ってくれる選手になれると思います」と話しました。

練習風景 練習風景 練習風景

いつか日本代表として活躍したい!

最後の挨拶で大西さんは、「僕が出場したのはラグビーワールドカップ2007フランス大会。そして16年経って2023年の今年フランスで開催されます。また日本でも開催されるかも知れないので、その代表選手に、ここにいる誰かがなってくれたらうれしい。そんな未来の選手を育てる環境に、私も何かサポートできればと思っています。今日は本当に皆さんのレベルの高さにはびっくりしました。ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えました。

五郎丸さんからは、「16年後は君たち何歳かな。え?26歳?ラグビー選手として一番脂が乗っている年ですね!ラグビーが盛んな国はサッカーほど多くないので、生きている間に、もう一回日本でラグビーワールドカップが開催されると思って、ぜひ練習して頑張ってください。このチームは他のチームと比べてスキルも高いけれど、『コンタクト』の強度が本当に高い。自信を持ってください。『ヒーローズ』も含めて、出場する試合では勝ち負けだけで判断しないように、『これをやった!』と胸をはれるプレーをしてください。今日は短い時間でしたが、朝早くからいらっしゃった親御さんも、本当にありがとうございました!」と締めくくりました。

子どもたちに感想を聞くと、「レスリング選手のように膝をついて腰を低く落としてタックルすることで、体が小さくても相手を倒せる方法は初めて聞いたので、とても勉強になった」と返ってきました。昨年、第13回全国中学生ラグビーフットボール大会と第28回全国ジュニア・ラグビーフットボール大会に出場した中学生の女子は、「プレースキックは、キックする脚と対角線上にある、振り降ろす手の反動がポイントというのが一番頭に残っています。そんなこと今まで知りませんでした。いつか日本代表チームで活躍したい」と話してくれました。

八尾ラグビースクールの運営委員長、青山健吉さんは、「私たちだけだと指導方法の幅が限られてくる。今日は試合にすぐつながるような実践的で細かい動きのアドバイスや気づきをいただきました。世界で活躍されてきたグローバルな視点は、選手だけではなく指導者の私たちも刺激を受けます。このチームは4年連続で全国大会に進んでいますが、勝ち負け以上に、中学、高校と継続してもらえるようにラグビーの楽しさを感じられるような育成をしていきたいです。今日は本当にありがとうございました」と話してくださいました。

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日本代表のレベルが上がれば、ラグビー界全体のレベルが上がる

半日のラグビースクールを終え、今日も様々な選手や保護者に出会った五郎丸さんは、このチームの「コンタクト」練習のレベルの高さや強さといった特徴を挙げながら、「私たちの頃と比べると、子どもたちのレベルが年々高くなっています。やはり日本代表の活躍がラグビー界全体の底上げにつながると思いますし、昔と違って世界レベルのプレーもインターネットで手軽に見ることができる環境も影響しているのかなと思います」と話しました。「なるべく子どもたちに分かりやすく具体的な指導をいつも意識しています。『肩の向きを意識して』など短い言葉で説明するのが大事ですね」と五郎丸さん。大西さんも「例え話をするなど、できるだけ子どもたちが映像としてイメージしやすいように伝えることが大事だと思いますね」と指導のポイントを教えてくれました。

今年はいよいよラグビーワールドカップ2023フランス大会開催の年。「このスクールでも子どもたちに『フランスでラグビーワールドカップ2023があるんだよ』と説明しつつ、子どもたちの夢が少しでも叶うような活動を引き続きしていきたいです」と五郎丸さんが抱負を語ってくだいました。今年も五郎丸さんが皆さんのチームにお邪魔します!

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