ニュースリリース
アサヒビール株式会社のニュースリリース
アサヒビール株式会社
アルコール分解能力『スピードチェック法』を開発!
〜アルコール体質をチェックし適正飲酒の啓発へ役立てる〜
アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 泉谷直木)の「食の基盤技術研究所」は、同研究所の持つ遺伝子解析技術を元に、アルコール体質チェックを簡便かつ低コストで行うことができる手法『スピードチェック法』を開発しました。当社が推進する適正飲酒啓発活動の一環としてこの技術を試験的に活用していきます。
アルコール体質を遺伝子レベルでチェックし、適正飲酒の啓発に役立てていく試みは、業界初となります。
日本人のアルコールを代謝する能力は、遺伝子のわずかな違いによって異なることが知られています。アサヒビール(株)では、遺伝子型の判別技術向上による実用的なアルコール体質の判別方法の研究を進めてまいりましたが、今般、従来のアルコール体質判別よりも正確な体質チェックを低コストで行うことができる手法の構築に成功しました。測定方法の改良や汎用品の活用などを組み合わせ、短時間で簡便かつ確実な測定を行うことができます。また、個人情報の取得を行わずにサンプルを 匿名化するため、各被験者のチェック結果を本人以外の第三者が知ることはなく、個人情報保護の 観点においても、従来の判別より被験者の負担が少ない判別方法といえます。
従来のアルコール体質の判別は、被験者の肌の状態の影響を受けやすいパッチテスト(アルコールを浸したガーゼを皮膚につけて、その反応で体質を判別するテスト)や、精度は高いが高コストの遺伝子型判別テストが一般的でしたが、今回の判別方法開発により実用性が飛躍的に向上しました。
今回開発した『スピードチェック法』を用いたアルコール体質チェック判別は、まず本年度アサヒビールグループ各社へ入社する新入社員向け研修で実施し、今後は、大学における適正飲酒セミナーのプログラムへの試験的な導入などを予定しており、適正飲酒についての一層の意識向上と啓発を促していきます。
アサヒビール(株)では、「不適切な飲酒の撲滅」をCSR活動の重点テーマの一つと位置付け、「適正飲酒」の啓発活動を積極的に推進しています。「食の基盤技術研究所」では、この「適正飲酒」の啓発活動の推進を科学的な知見を持ってバックアップすべく、「アルコールと健康」領域の研究 活動に取り組んでいます。
アルコール摂取がもたらす健康への影響については良い面と悪い面があることが知られています。アルコールがもたらす恩恵を享受するには、過度な飲酒を控え適正飲酒を心掛ける必要があります。「食の基盤技術研究所」では、アルコール摂取による生理的な影響を、個々人のアルコールに対する体質や飲酒の諸条件を踏まえて明らかにし、それを適正飲酒啓発につなげることで、飲酒による社会的・健康的諸問題の発生予防と、よりよい飲酒文化の構築を目指して研究を推進しています。
※ | 本体質チェックは教育に役立てることを目的としたものです。医学的な臨床検査ではありません。 また、本体質チェックの事業化は予定しておりません。 |
【参考:従来のアルコール体質判別法との比較】
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【参考:アルコール分解の仕組み】
※ | 「アルコール脱水素酵素」の働きが弱く、アルコールを分解しないと「酔いやすく、さめにくい」。 「アルデヒド脱水素酵素」の働きが弱く、アセトアルデヒドを分解しないと「気分が悪くなりやすい」。 |
【参考:遺伝子型について】
※酵素の働きの強さには、3つのタイプがあります。
・通常活性型ホモ ・ヘテロ ・低活性型ホモ |
・・・通常の働き ・・・弱い働き ・・・非常に弱い働き |
(組合せが2つとも同じものの場合を「ホモ」、異なる場合を「ヘテロ」といいます) |
【参考:日本人のアルコール体質のタイプと構成比】
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※アルコール体質は、2つの酵素の働きの組合せが9つのタイプに分けられます。
【参考:アルコール体質チェックの方法】
1.被験者自身によるサンプル採取
・サンプリングキットを多数納めた箱の中から、一つを取り出す。
・キット添付の紙カップに唾液をため、スポイトを用いて
DNA保存カードに唾液を滴下する。
・番号の記載されたタグをカードから切り取り保管する。
カードを封筒に入れ、無記名のまま提出する。※1
2.遺伝子型測定
・カードよりDNAを抽出し、専用機器(リアルタイムPCR装置※2)にて
アルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素の遺伝子型を判別する。
※1:サンプルは最初の段階で匿名化されるため、個人のチェック結果を第三者が
知ることはありません。
※2:PCR装置は「DNA増幅装置」ともいわれ、測定のために極微量のDNAを
増幅させるものです。