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ニュースリリース

 

ニュースリリース2008年

2008年08月28日
アサヒビール株式会社

環境に優しい世界初の新技術を開発
〜煮沸システム「PIE煮沸法」を構築し、煮沸工程のCO2排出量を約30%削減〜
〜吹田工場で新技術を取り入れた「スーパードライ」の仕込みを本格的に開始〜

 アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 荻田伍)は、ビール類を製造する過程において、省エネ設備の導入や廃棄物や副産物の100%再資源化、完全ノンフロン化の実現、排水処理の低減、自然エネルギーの利用など様々な環境に優しい取組みを行っており、こうした一連の取組みをより一層強化していきます。新たな取り組みとして、ビール醸造における煮沸時間を短縮することにより、煮沸工程で発生するCO2排出量を約30%削減することができる世界初の新技術を開発し、新技術を取り入れた「アサヒスーパードライ」の本格的な仕込みを本年9月より吹田工場(大阪府吹田市)で開始します。

 ビール醸造の煮沸工程は主に、麦芽やホップに由来する味感を損ねる香気や、濁りを起こすタンパク質を排除するとともに、最適な苦味を付与することを目的としており、一般的には麦汁にホップを加えて煮沸しています。こうした様々な目的を達成するためには全ての工程の煮沸条件を満たすことが必要であり、最も熱エネルギーを要する工程にあわせた煮沸を行っています。こうしたこと等により煮沸工程には多量の熱エネルギーを要し、醸造工程で使用する熱エネルギーの約25%を占める工程となっています。

 アサヒビール(株)は煮沸工程において、各々の目的に必要な熱エネルギーを詳細に分類した結果、沸点の高いホップ由来の化合物を除去する工程が最も熱エネルギーを必要とすることを見出しました。従来の煮沸工程では麦汁にホップを加えて同時に煮沸していましたが、ホップ成分だけを別の小型の釜で煮沸させることによって、これまでより著しく少ない熱エネルギーで味感を損ねる香り成分を除去することに成功するとともに、ビールの泡持ち時間を延長させるタンパク質が残るといった付帯効果も発見しました。アサヒビール(株)では、この方法をPIE(Pre Isomeriser & Evaporator)煮沸法と称し、特許を出願しています。

 PIE煮沸法では、従来の煮沸釜に添加していたビール製造に必要なホップ成分を従来の煮沸釜本体の1/50程度の別の釜で煮沸し、ホップ由来の高沸点成分を蒸散させ、麦汁を煮沸する煮沸釜に投入します。ホップを分別し煮沸することにより麦汁を煮沸する煮沸釜では、ホップ投入後の煮沸時間が大幅に削減されるため、トータルの煮沸時間が約30%削減されます。
 これらの煮沸工程の見直しにより、ホップ煮沸の効率化を実現したためホップ使用量の約5%を削減させることが可能となりました。さらに、煮沸時間の短縮により、ビールの泡持ち時間を延長させるタンパク質が増加することで泡持ちが向上しました。
 こうした結果、煮沸工程に発生するCO2排出量を従来よりも約30%削減させることを実現しました。アサヒビール(株)は、PIE煮沸法の導入を本年秋頃には茨城工場で展開し、順次国内全9拠点のビール工場で進めていく予定です。

 アサヒビール(株)は、2000年より技術開発推進室を設置し生産技術開発の精度向上とスピードアップに取り組んでいます。これまでも、製造技術の確立・向上・伝承、技能を賞賛する風土の醸成を目指したテクニカルマスター制度やテクニカルエキスパート制度、弟子入り制度などのプロジェクトを展開しています。
 今回のPIE煮沸法は、こうした技術革新の精度向上を目指したプロジェクトの一環として、自由な発想で自らが提案する技術開発を研究する技術主査制度から創出されたものです。

 アサヒビール(株)は今後もお客様の満足度の向上や、環境保全への取組みを進めるとともに、より一層の安全・安心を担保する技術革新を推し進めていきます。