アサヒビール株式会社
グループ統合生産システム「トータルプロダクションシステム」を構築
〜酒類製造2社の基幹システムの統合〜
〜原材料・半製品在庫、製造原価の見える化と業務プロセスの統合を実現〜
アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 荻田伍)は、アサヒビール(株)のビール9工場とニッカウヰスキー(株)の国内7工場にて、「需給計画・生産計画」「原材料調達・購買」「生産・原価」「品質管理」の分野で業務の効率化を実現する製造部門の情報を一元化した「トータルプロダクションシステム」の構築を推し進めています。
本年1月には、アサヒビール(株)とニッカウヰスキー(株)のシステム統合を完了し、(1)製造列毎の製品製造原価計算を実現、(2)アサヒ社とニッカ社で生産管理帳票と酒税帳簿の書式統一化を実現、(3)発注業務削減と資材在庫圧縮の実現、(4)生産系システムのマスターコード体系の統一と共有化、(5)1データを複数システムで活用することによる業務簡素化の実現、(6)多品種生産に向けたシステムを開発し、本年5月より本格展開します。
今回のシステムは、アサヒビール(株)とニッカウヰスキー(株)がそれぞれ有するビール類と洋酒類や焼酎類の生産技術などのものづくりに関する考え方を融合し、業務プロセスを統合・確立するとともに、一つの工場で異なる酒類製造の実現を可能とするシステムです。 今回のシステム構築により、より一層の安全・安心な商品をお客様にご提供するトレーサビリティ強化と、生産工程における業務の効率化やコストダウンを実現します。
今回のシステム構築の一環として、これまでも品質管理面において、製造工程の安全安心を実現する品質保証システムの太鼓判システムや、原材料の品質や栄養成分、使用添加物の中味などの情報を管理する原材料安心安全情報システムの構築などに取り組むとともに、調達面においては、輸入原料の契約・発注・支払を一元管理する輸入品調達システムや、生産計画数量より資材の必要納入依頼数量を自動計算する原材料調達システムを構築してきました。
今回のシステム構築を推進するなか、今回新たに展開する具体的な事例は以下の6項目で、業務の効率化を実現します。
(1) 製造列毎の製品製造原価計算を実現
アサヒビール(株)とニッカウヰスキー(株)の各社で管理していたデータを一元化するため、原料・資材の使用場所や半製品の管理情報を従来よりも細分化したデータを入力することで、製造列単位、且つ製品別の詳細な原価計算を実現しました。このことにより、製品毎にどの工場のどの製造列で製造すれば一番効率的かを容易に把握することが可能となりました。
(2) アサヒ社とニッカ社で生産管理帳票と酒税帳簿の書式統一化を実現
アサヒビール(株)とニッカウヰスキー(株)がそれぞれ使用していた生産管理システムの統合により、原材料の在庫等を管理する生産管理帳票の統一化を実現しました。また、酒税法で定められた記帳義務である酒税帳簿の記帳方法の社内標準化を行い、各工場の所轄国税局の承諾を得て、アサヒビール(株)とニッカウヰスキー(株)で共通の酒税帳簿書式の活用を実現しました。
(3) 発注業務削減と資材在庫圧縮の実現
生産計画の変更が生じた場合、これまで資材の調達量を再計算し資材の納入計画を更新し資材メーカーへ発注していた業務プロセスから、製造計画と連動した資材所要量の自動計算機能を構築したことで、資材メーカーへの発注業務作業量が大幅に削減するとともに資材在庫の圧縮も実現しました。
(4) 生産系システムの情報を管理したマスターコード体系の統一と共有化
酒類製造グループ2社がそれぞれ情報を管理するマスターコード体系を統一するとともに、マスターの一元管理と他システムへ一括配信する仕組みを構築したことで、新規購入物品や新商品製造開始時のマスター設定作業を簡略化しました。また、マスターコード体系の統一により、アサヒビール(株)がニッカウヰスキー(株)の原材料一括購入の容易な運用が可能となりました。
(5) 1データを複数システムで活用することによる業務簡素化の実現
同様なデータを複数のシステムへそれぞれ入力する入力作業の大幅な軽減とシステム間の整合性の確保を実現しました。具体的な事例としては、生産管理システムに1つのデータを入力することにより、経理システム、製造原価計算システム、原材料調達システム等の他システムにもデータ連携され業務の簡素化を実現しました。
(6) 多品種生産に向けたシステムの開発
これまでのビール中心の生産体制から発泡酒や新ジャンル、RTD商品、洋酒等あらゆる酒類の製造や清涼飲料水の製造を実施する多品種少量生産体制に移行していくなか、新しい原材料の使用や原料を配合する生産工程への対応を検討してきました。これまでシステムの一部を改善して対応してきましたが、今回マスター制御による汎用的な仕組みを構築したことで、機動的で柔軟な生産体制を実現しました。
アサヒビール(株)は、安全・安心を担保する調達システム構築による精度向上で原材料のトレーサビリティ強化を図るとともに、グループ各社との連携強化により業務の効率化や製造コスト削減に取り組んでいきます。