アサヒビール株式会社
第102回 アサヒビールロビーコンサート
『ハイチのヴードゥー・リズム』−デモンストレーション&パフォーマンス−
開催のお知らせ
アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 荻田伍)は、アサヒビール本部ビル(東京都墨田区吾妻橋)の1階ロビーホールにおいて、アサヒビールロビーコンサート『ハイチのヴードゥー・リズム』を7月18日(水)に開催し、このコンサートに150組300名様をご招待します。
今回のロビーコンサートは、同時期に東京都内数箇所で開催されている『<東京の夏>音楽祭2007』(主催:(財)アリオン音楽財団)と連携し、カリブ海に浮かぶ島国ハイチの音楽グループでフリスナー・オーグスティン氏が率いる『マカンダル』をお招きしてお送りします。
「ヴードゥー」とは、ハイチの人々の生活に生き続ける民衆宗教のことです。アフリカから奴隷として連れてこられた人々とともにハイチにやってきたアフリカの宗教と、ヨーロッパの植民者たちがもたらしたカトリックの信仰が渾然一体となり、「ヴードゥー」が生まれました。「ヴードゥー」は、虐げられた人々、圧制に苦しむ人々の心の支えとなり、勇気と団結力を与えてきました。今回のロビーコンサートでは、今ではハイチ国教の一つともなった「ヴードゥー」の神々を象徴するリズムとダンスの実演を披露します。
なお、本コンサートは、7月7日(土)から9月9日(日)の期間に、北海道から沖縄まで全国各地で行なわれる“アサヒ・アート・フェスティバル2007” (*)の参加プログラムの一つとしても位置付けられています。また、若者を中心に結成し、“まちとアートのつなぎ手”として活動している特定非営利活動法人コミュニティアート・ふなばし(千葉県船橋市、理事長:下山浩一)との協働で運営することで、市民の皆様と一体となってコンサートを主催し、地域とのつながりもいっそう深めていきます。
アサヒビール(株)は、企業メセナ活動の一環として、手作りコンサートを“ロビーコンサート”と称して開催しており、本部ビル一階のロビーホールを中心に、全国の工場などの社有施設を会場にして、1990年から定期的に開催しています。
“ロビーコンサート”は、お客様に多様な音楽をお楽しみいただきたいという想いだけでなく、更に、若手アーティストへ自由な活動の機会を提供していくことで、アーティストの発掘・育成、新しい芸術表現の模索といった、未来の文化創造につなげていきたいという想いも合せた企画です。これまでに、全国で開催したロビーコンサートへ参加したアーティストは、延べ500名を超えています。
今後もメセナ活動を継続していくことによって、創造性に富んだ豊かな社会文化を構築していくとともに、一人でも多くの方々にアートとふれあう機会が生まれることを期待しています。
*アサヒ・アート・フェスティバル2007…北海道から沖縄まで、全国各地の20を超えるのアートNPOや市民グループとアサヒビール(株)が協働して立ち上げる様々なアートプログラムを、7月7日(土)〜9月9日(日)の期間において一斉に発表するアートの祭典。2002年より開催され、本年で6回目を迎える。2003年度には、社団法人企業メセナ協議会の主催する『メセナアワード』において、「現代総合芸術賞」を受賞。昨年は、約1,500名のスタッフ、ボランティアとともに開催し、全国で約50,000名のお客様にご来場いただいた。
【ロビーコンサート概要/申し込み方法】
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【参考資料】
■ブードゥーについて
ハイチの民間信仰。キューバやトリニダード・トバコ、ブラジル、またルイジアナ州などアメリカ合衆国南部にも広まっている。中部・西部アフリカから奴隷としてハイチに送られた黒人たちがもたらしたもので、その語源「ヴードゥン」は「霊」「生命力」を意味する。ハイチでは、フランスの植民者たちがもたらしたカトリックと融合し、ハイチ独特の宗教として発展してきた。ハイチ人のほとんどはヴードゥーとカトリックの双方の信者である。聖母マリアをはじめとするカトリックの聖人や宗教的シンボルは、たいていヴードゥーの精霊たちと置き換えられ、重ねあわせられて信仰されている。十字架の使用、洗礼の儀式、十字を切ることなど、カトリック的な要素が取り入れられる一方で、踊りや太鼓の音楽、先祖の崇拝、双子の崇拝、呪術的な要素など、アフリカの宗教の要素も色濃いのが特徴。ハイチにあるソードゥーの滝への巡礼は、19世紀半ば、村人が樹上で輝くマリアを目撃した聖母マリア伝説に由来する。聖母マリアはヴードゥー教の愛の精霊エジリと同一であるとされている。
こうして人々の生活に根付いたヴードゥーは、植民地支配下で虐げられた奴隷たちに勇気と団結力を与え、ハイチ独立の大きな原動力になった。その後も何度も邪教として排斥され、寺院の破壊が行われたが、人々の信仰心は生き続け、1987年の新憲法で正式にハイチの国教として認められるに至った。ヴードゥーの奥義は、「ロア(精霊)」との交流によって個人や共同体が抱える問題を解決し、社会生活を理想的なものへと変革することにある。音楽や踊りで呼び出されたロアにとりつかれた人々は、恍惚状態の中で人々の病を治したり、アドバイスを与えたりする。
■マカンダル La Troupe Makandal
1973年ハイチの首都ポルトープランスの若者たちにより結成された音楽グループ。グループ名は、18世紀の伝説的な革命家にして宗教的指導者マカンダルの名にちなみ、今でも聖人として崇められる彼の革命の精神を受け継いでいる。1981年、ハイチからニューヨークに活動を移す。ハイチの歴史と文化を色濃く反映したパフォーマンスは、ブードゥー文化を代表する存在として多くのアーティストに影響を与える。
■フリスナー・オーグスティン Frisner Augustin
(アーティスティック・ディレクター/マスター・ドラマー)
ハイチのヴードゥーの寺院で儀式の太鼓奏法を学ぶ。1972年にニューヨークに渡り、ハイチとニューヨークを行き来しながらヴードゥー儀式のマスター・ドラマーとして活動。多様で複雑なロア(精霊)のリズムを叩き分けることで知られ、ジャズ系アーティスト、キップ・ハンラハン、ハイチ系アメリカ人ジャズ・ドラマー、アンドリュー・シリルとの共演のほか、ジョナサン・デミ監督映画「ビラヴド―愛されし者」の秀逸なサウンドトラックでも知られる。1999年全米芸術基金NEAから、アメリカにおける民族芸能のジャンルで最も名誉ある賞National Heritage Fellowship(国家遺産フェローシップ)を贈られた。