アサヒビール株式会社
― 第3次グループ中期経営計画 ―
アジア地域の成長性溢れるリーディングカンパニーを目指し
グループの『新たな成長軌道』を確立する
アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 荻田 伍)は、グループの「新たな成長軌道」の確立を目指して、2007年から2009年までの3年間を実行期間とする「第3次グループ中期経営計画」を策定しました。
当社グループは、これまで、2001年を初年度とする「第1次グループ中期経営計画」において、コーポレートガバナンスの改革や財務体質の改善に取り組み、また「食と健康」を事業領域として、グループ全体の成長を目指した事業構造の再構築に着手いたしました。
続く2004年からの「第2次グループ中期経営計画」では、成熟化する国内アルコール市場を見据えて、事業構造と収益構造の変革に取り組み、国内飲料事業及び食品・薬品事業における新たな事業基盤の取得や、成長するアジア市場における飲料事業のM&Aなど、積極的な事業投資によりグループ全体の成長基盤を拡大してまいりました。
今回策定した「第3次グループ中期経営計画」では、強化するエリアや企業価値向上のための考え方をより明確にした「グループ長期ビジョン」を新たに定め、『「食と健康」を事業ドメインとして、アジア地域を中心に、お客様へ生涯を通じた喜びと感動を提供し続けることにより、成長性溢れるリーディングカンパニーを目指す』ことを掲げました。
この長期ビジョンの達成に向けて、“ものづくり”における競争力強化を原点に、アサヒブランドの価値向上とグループ内の多角ブランドとの自律的連携やシナジーを追求することで、新たな成長軌道を確立し、グループ全体でコーポレートブランド価値の向上に取り組んでまいります。
1.グループ中期事業方針(成長シナリオ)
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2.グループ中期定量目標(連結ベース)
中期経営計画の最終年度である2009年には、グループの既存事業の業績計画として設定した、以下の目標の着実な達成を果たすとともに、これに加えて、M&Aなど戦略的事業投資の実行により、更なる成長基盤の拡大を目指します。
また、売上高営業利益率で7%以上(酒税抜き営業利益率11%以上)、株主資本利益率(ROE)で10%以上を実現し、収益性と効率性の一層の向上に努めてまいります。
3.事業別方針
【1】酒類事業
グループの中核事業であり最大の強みである酒類事業においては、お客様満足の追求という原点に立ち返り、アサヒブランド及び事業活動全般を再整備することで、事業の再成長軌道を確立します。
酒類の各カテゴリーにおいて、ブランドを通してお客様に“喜びと感動”をご提供する活動を推進するため、そのブランドの持つ付加価値を高める“ものづくり”、マーケティング活動、営業活動を更に一段高いレベルで実行することにより、ビール類を中心とした総合酒類事業の磐石化に努めます。
ビール類においては、2007年で発売20周年を迎える「アサヒスーパードライ」のブランド価値をお客様目線で最大限に訴求していく活動を最優先に取り組み、また、発泡酒、新ジャンルにおいても、お客様への提供価値を明確にした商品戦略を展開することにより、ビール類市場における最大のご支持を揺るぎないものにしてまいります。
総合酒類部門においては、お客様のニーズが多様化する中で、独自の価値や強みを持ったリーディングブランドを各カテゴリー、各ジャンルで構築することにより、更なる成長と収益性の向上を目指します。
また、酒類事業において、安定的かつ長期的なキャッシュフローの創出を図るために、第2次中期計画同様に、更なる収益構造の改革を推進します。最高の品質を前提として、グループ全体で最適生産・物流体制を再構築することにより限界利益の向上を図り、更に全部門での固定費の効率化にも取り組んでまいります。
【2】飲料事業
グループ事業第2の柱である飲料事業では、アサヒ飲料社を中核会社として、エルビー社を通じて本格参入したチルド飲料事業の強化に加え、新規の事業投資や提携も視野に入れながら、グループトータルで一層の事業規模拡大を図ります。
アサヒ飲料社は、炭酸・缶コーヒー・お茶分野における基幹ブランドの磐石化や強化カテゴリーでのブランド育成に加え、健康関連・水カテゴリーなど、成長分野での機能性素材を活用した商品開発などにより、お客様への提供価値の拡大を進めます。また、グループの連携による最適生産・物流体制を構築するなど、更なる構造改革に取り組み、業界トップレベルの収益構造の確立を目指します。
エルビー社を中核としたチルド飲料事業については、グループシナジーを活用した販売チャネル・商品領域の拡大を進めるとともに、品質向上や収益構造改善を目的とした設備投資を行うなど、製造・販売体制全般にわたる事業基盤を強化いたします。
【3】食品・薬品事業
食品・薬品事業では、アサヒフードアンドへルスケア社に和光堂、サンウエルを加えた3社体制で、既存ブランドの価値向上に努めます。また、幅広い年齢層のお客様に対して、グループ全体でこれまで蓄積してきた研究開発素材などを活用した高付加価値の商品をご提案していくことで、食品・薬品事業トータルの成長軌道の確立を目指します。
また、グループシナジーは商品開発だけでなく、販売チャネル・事業領域の拡大や生産・調達・物流などSCMトータルの収益構造改革でも発揮し、事業全体の収益基盤を強化します。
新たにグループに加わった和光堂については、ベビーフードのトップメーカーとして、育児部門のブランド強化を図ると同時に、幼児食事業、高齢者食事業への本格的な進出や海外への事業展開を検討、実行してまいります。
【4】国際事業
アジア地域を中心とした国際事業では、酒類・飲料事業の“ものづくり”を基本としたノウハウを強みとして、アサヒブランドとローカルブランド双方の成長による事業基盤の強化と収益性の向上を図ります。加えて、新規の事業投資や提携も視野に入れながら、「食と健康」分野における、アジア地域のリーディングカンパニーを目指します。
国際酒類事業では、世界最大のビール消費国として成長を続ける中国において、出資各社の飛躍的成長と収益性の向上に努めると同時に、東アジア・東南アジア全域にわたり、各国のプレミアムビール市場におけるスーパードライの一層の浸透に取り組みます。
国際飲料事業では、韓国のへテ飲料社の経営強化を支援し、安定的な成長路線の構築に努めます。また、飛躍的な成長を遂げている中国の康師傅飲品控股有限公司は、中国飲料NO.1を目指し、財務・生産技術・商品開発全般にわたる経営サポートを継続し、中国全土での磐石な事業基盤を確立してまいります。
4.財務・キャッシュフロー戦略
各事業における成長軌道の確立とグループトータルの企業価値の向上を目指し、最適な財務・キャッシュフロー戦略を実行してまいります。
中期計画3ヵ年で創出される営業キャッシュフローは、成長基盤の強化に向けた投資を最優先に活用いたします。最適生産・物流体制の構築などの設備投資に加えて、上限枠を設けることなく、「食と健康」領域で、国内外を問わず戦略的事業投資や事業提携を検討、実施してまいります。一時的な資金需要が発生した場合には、金融債務の柔軟な活用も検討いたします。
株主還元につきましては、第2次中期計画と同様に、継続的かつ安定的な配当を基本としつつ、連結配当性向20%以上を目処に増配を目指します。また、自己株式の取得につきましても、資金需要を鑑みながら適宜実施し、総合的な株主還元を継続することで、株主や投資家の皆様のご期待に応えてまいります。
5.経営基盤強化に向けた取り組み
【1】組織体質の変革と人材育成
激しく変化する経営環境の中で、グループ全体でお客様目線に基づいた事業活動を徹底し、新たな挑戦のDNAを築く組織体質へ変革します。そのための人材育成を優先課題として取り組み、グループ横断的に、拡大する事業に対応する経営人材、キーポスト人材の育成・配置体系を確立し、導入してまいります。
【2】買収防衛策の導入と役員制度の改革
第3次グループ中期経営計画の円滑な遂行を支え、株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、株主総会での承認を条件に、事前警告型の敵対的買収防衛策を導入いたします。また、取締役の評価を毎期の株主総会に諮る観点から、その任期を従来の2年から1年に短縮します。併せて取締役に準じる執行役員についても、その執行責任の遂行状況を1年毎に評価する観点から、任期を2年から1年とします。
【3】経営管理体制の強化
グループの経営管理体制を強化するため、グループ事業の業績評価および投資・撤退基準にROIC(投下資本収益率)を採用し、グループの事業ポートフォリオ経営を推進していきます。また、会社法に基づく内部統制システムの整備とリスク管理体制を強化し、コーポレートガバナンスの一層の向上を図ります。