平成18年1月12日 アサヒビール株式会社
2006年 アサヒビール グループ事業方針
中期経営計画の最終年度として『変革の総仕上げの年』に 次代の成長ステップに向けた挑戦と飛躍を |
アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 池田弘一)は、2004年から2006年の3カ年にわたる第2次グループ中期経営計画を策定し、『成長性溢れる新しいアサヒビールグループへの変革』を目指して、“事業構造の変革”“組織体質の変革”に取り組んでいます。 具体的には、キャッシュフローの源泉である国内酒類事業をより強固とするとともに、既存グループ事業の収益性を高める一方、積極的な事業投資によって将来への成長に向けたグループ事業構造の再構築を推進することとしています。 アサヒビール(株)では、これまでの2年間の成果と課題をふまえ、中期計画最終年度である本年を、グループ全体の強固な収益構造と多様な成長構造を築く『変革の総仕上げの年』と位置づけ、次代の成長ステップに向けた挑戦と飛躍をはかります。 【1】2005年の状況と中期経営計画1年目・2年目の振り返り 1.国内酒類事業について 2005年の国内酒類市場の状況について 酒類マーケットの中核となるビール類市場については、各社が新取引制度を導入するとともに、新商品の効果によって新ジャンル市場が前年の3倍の規模に拡大するなど、市場に大きな動きがありました。しかしながら、新ジャンルの伸長はビール類全体の市場を成長させるまでには至らず、ビール類全体の市場は前年比3%強のマイナスとなった模様です。 また、伸び率は鈍化したものの、低アルコール飲料、泡盛を含めた乙類焼酎は引き続き市場が拡大したものと推定されます。 2005年のアサヒビールの状況 アサヒビール(株)は、中期計画1年目に酒類事業における収益構造改革に一定の成果が上がったことを受けて、昨年は、国内酒類事業における新たな成長を実現するため、中核ブランドのいっそうの価値向上と、お客様の進化に対応した新商品・サービスの開発・提案に積極的に取り組みました。 具体的には、ビールでは、『アサヒスーパードライ』の“鮮度”と“うまい樽生”に関する取り組みを中心にブランド力をさらに引き上げ、ビール市場のトップメーカーとして ビール回帰の兆しを牽引することを目指しました。発泡酒では『アサヒ本生』シリーズに“飲みごたえ”を特長にした『本生ゴールド』を、また新ジャンル市場に対しては、4月に『アサヒ新生』、11月に味やパッケージを磨いた『アサヒ新生3(スリー)』を新発売し、お客様の嗜好の多様化に対してアサヒビール(株)としての積極的な提案を行いました。こうした取り組みの結果、ビール市場ではご支持をさらに高めるとともに、発泡酒と新ジャンルを合せた出荷量で前年実績を上回ることができました。しかしながら、ビール回帰の流れを形成するまでにはいたらなかったことや、ビール類トータルでの成長の実現という点では、十分な結果とはいえませんでした。 また、近年成長の著しい低アルコール飲料や焼酎カテゴリーにおいては、中核ブランドに経営資源を集中し大きな販売拡大を目指しました。低アルコール飲料では、有数のブランドに成長した『アサヒカクテルパートナー』の商品刷新や季節限定商品など積極的な商品展開を行った結果、前年比26%増となる961万箱(1箱:250mlX24本)となり、2002年以降4年連続となる2けた以上の増加を達成しました。また、『アサヒ旬果搾り』は季節にあわせたフレーバー展開が奏効し前年比9%の伸びとなり、果汁系チューハイ分野で確固たる地位を確立しました。焼酎では、『かのか』ブランドに『いも焼酎かのか』を加え、市場での存在感拡大に努めました。『かのか』は家庭用・業務用ともに取扱いが拡大し、年間販売数量は前年比3割増加し266万箱(1箱:720mlX12本)にまで成長しました。 洋酒カテゴリーでは、国産ウイスキー主力の『竹鶴』が、従来の業務用のみならず家庭用市場でも取扱いが拡大するとともに、『ブラックニッカクリアブレンド』が堅調に推移しました。またワインについては、無添加・有機シリーズを中心に国産ワイン『サントネージュ』ブランドが大きく伸び、業界全体がマイナスと推定される中で、当社のワイン全体は約5%の成長となりました。 一方、アサヒ協和酒類製造(株)のニッカウヰスキー(株)との合併及びアサヒ協和・土浦工場のニッカ・柏工場への機能移転、アサヒビールワイナリー(株)とサントネージュワイン(株)との統合を行うなど、総合酒類事業の最適生産体制の構築、コスト競争力向上の取り組みを着実に進展させることができました。 2.グループ事業について 2005年の国内飲料事業については、『ワンダ』『三ツ矢サイダー』『アサヒ 十六茶』の基幹3ブランドの強化と、『アサヒ SUPER H2O』や『アサヒ緑茶 若武者』などの個性的な新商品投入により、アサヒ飲料(株)が業界平均の伸びを大きく上回る販売数量増を果たしました。また、引き続き進めた事業構造改革により収益力もさらに改善し、3年連続の好業績となりました。 食品薬品事業については、サプリメント・機能性食品の『アクティオ』『バランスアップ』、ミント系錠菓の『ミンティア』などの主要ブランドの売上が2けたの増加となったことで、アサヒフードアンドヘルスケア(株)が、大きな増収を果たすとともに事業構造改革により利益体質への転換を進めました。 一方、将来の成長に向けた新たな事業領域の拡大については、昨年、エルビー2社(埼 玉、名古屋)の株式を取得し、チルド飲料事業をグループの事業ポートフォリオに組み入れるとともに、健康食品製造販売の(株)サンウエルを新たにグループ会社に加え、食品薬品事業の事業基盤拡大をはかりました。 3.国際事業について 2005年の国際事業は、中国や欧米などの既存事業の収益性改善と、アジアを中心に新市場の開拓等に努めました。 国際事業における重点地域である中国やアジア地域については、昨年初めの組織改定で、中国・北京に「中国本部」を、また秋にはタイ・バンコクに、中国を除くアジア・オセアニアの事業統括事務所を新設し、現地における意思決定と遂行の迅速化をはかりました。 中国ビール事業については、新工場稼働2年目の北京?酒朝日有限公司、浙江省省都を中心に事業展開する杭州西湖?酒朝日有限公司などの現地ビール会社が各エリアで販売を拡大した結果、出資ビール会社合計の年間販売数量は58.5万キロリットルに増加しました。 また、タイやカンボジアなどのアセアン諸国における積極的な市場開拓により、アジア(中国を除く)・オセアニア地域での『スーパードライ』の販売数量は、前年の2倍の 約160万箱(1箱:633mlX20本)にまで拡大しました。 欧州では、『スーパードライ』の好調な販売が続くイギリスにおいて、樽ビールを中心とした業務用市場での取扱い拡大を目指し、昨年9月より『スーパ−ドライ』現地生産を開始しました。イギリスでの販売強化を中心に、欧州での昨年の販売数量は前年比2けた増となりました。 中国における飲料事業の基盤拡大を目指し、2004年に合弁を開始した康師傅飲品控股有限公司は、茶系飲料、果汁飲料やミネラルウォーターの販売が昨年も好調に推移するとともに、アサヒビールグループからの技術支援等により生産性も著しく向上しました。 * * * * * * * * * * * 中期経営計画のこれまでの2年間を振り返ると、国内酒類事業においては、低アルコール飲料や焼酎などの総合酒類分野で中核ブランドを柱にした市場地位の拡大に一定の成果が上がったものの、ビール類を中核とする酒類事業の成長については課題が残りました。 一方、酒類、飲料、食品薬品他すべての事業分野において、聖域を設けず、製造・物流コストの低減、固定費の削減といった効率化を進めた結果、各事業分野で収益性の向上を実現し、変化の激しい経営環境の中でもしっかりと利益を生み出せる体質への変革を進めました。 また、新規投資による新たな事業領域の拡大に関しては、食品薬品事業や国際事業で将来の成長につながる新たな事業基盤を獲得し、グループの事業構造の変革については着実に成果を積み重ねています。 【2】2006年の取り組み 中期経営計画の最終年度である本年は“変革の総仕上げの年”として、グループの強固な収益構造と多様な成長構造を構築し、次代の成長ステップに向けた挑戦と飛躍をはかります。 1.国内酒類事業について “総仕上げ”にあたってはグループの中核事業である国内酒類事業の成長力の強化が不可欠であり、その中核であるビール類の成長に経営資源を注力し、事業全体の成長基盤の再構築に努めます。 発売20年目に入る『アサヒスーパードライ』については、これまで進めてきた“鮮度”と“うまい樽生”に関する取り組みを一段上のレベルに引き上げて、ビールならではの品質、おいしさをお客様に実感いただく活動に専念していきます。ビール・トップメーカーとして、『スーパードライ』のブランド価値をいっそう高めることを通し、ビールの価値を向上させビール回帰の流れを本格的なものとしていく考えです。 “鮮度”をキーワードとした商品施策は、年初に製造された『スーパードライ』を製造後3日以内に店頭にお届けする「2006年 初製造パック」を新発売したことを皮切りに、「鮮度パック」の展開を量販店を中心に毎月実施していきます。展開にあたっては、量販店店頭で社員が自らお客様に『スーパードライ』の価値や品質へのこだわりをご説明する活動や、店頭での大々的なイベントなどを加え、ビール市場の活性化を店頭レベルから湧き起こしていくことを目指します。 『スーパードライ』のコミュニケーション面では、3月に開催される「2006 WORLD BASEBALL CLASSIC アジアラウンド」に特別協賛し、野球日本代表チームのオフィシャルスポンサーとして“世界一への挑戦”を応援するなど、日本のビールのリーディング・ブランドとしてダイナミックなコミュニケーション展開を行っていきます。 そのほか、ビール市場活性化に向けては、プレミアムビール市場において昨年3倍に伸びた『アサヒ生ビール熟撰』を業務用市場でいっそう強化していくとともに、ビールの楽しみを広げる新たなご提案も行っていきます。 発泡酒については、2001年の発売以来「本格・生の味わい」の発泡酒としてご支持いただいている『アサヒ本生』シリーズ3品種を、それぞれの味わいの特長をいっそう引き出す方向でクオリティアップし、1月下旬製造分から順次出荷を開始します。クオリティアップにあわせ、『本生』のカジュアルで楽しい世界観をお伝えする広告や消費者キャンペーンを展開し、発泡酒市場における『アサヒ本生』ブランドの存在感を高めていきます。 新ジャンルにおいては、昨年11月22日に発売し好調に推移している『アサヒ新生3』を、話題性のある広告宣伝や販促活動によって、ブランド力の育成を進めます。 また、焼酎、低アルコール飲料、洋酒、ワインの各カテゴリーにおいて中核ブランドの市場での存在感を一段上に引き上げることにより、総合酒類分野トータルで大幅な売上増にチャレンジします。 焼酎では、『かのか』を330万箱(1箱:720mlX12本)にまで拡大するとともに、『さつま司』『一番札』など本格焼酎群の商品提案をさらに強化します。低アルコール飲料については、『カクテルパートナー』『旬果搾り』の中核ブランドのいっそうの強化を柱にしながら、『ハイリキ』『本チューハイ』『フォション』といった個性派ブランド群でお客様の幅広いニーズにお応えしていきます。洋酒では、国産ウイスキーの中核商品である『ブラックニッカクリアブレンド』『竹鶴』を中心に市場地位の拡大をはかるとともに、エントリーユーザーに向けたウイスキーからの提案を『ブラックハイボール』などの新機軸商品で行っていきます。ワインについては、ワイナリーの統合にあわせ、国産ワインのブランドを『サントネージュ』ブランドに集約し強化に努めることで、昨年に続き国産ワインの売上拡大を目指します。 ■ ビール類の販売実績・目標(販売数量/万箱 1箱=大びん633ml×20本)
■ ビール類のブランド別販売実績・目標(販売数量/万箱 1箱=大びん633ml×20本)
■ ビール類以外の酒類カテゴリーの実績・目標(売上金額/億円)
2.グループ事業について 国内飲料事業については、アサヒ飲料(株)が、基幹ブランドを中心とした成長戦略、営業やSCM体制の改革、コスト競争力の強化に取り組み、長期的な成長拡大に向けた体制づくりを進めていきます。 食品薬品事業では、昨年、設立4年目で黒字化を達成したアサヒフードアンドヘルスケア(株)の収益基盤のいっそうの拡充に努めます。『ミンティア』や『アクティオ』などの主力商品の販売拡大に取り組むとともに、ビール酵母の機能性研究の成果をベースとしたダイエットサポート食品やアグリ関連事業への新規参入をはかります。 新しい成長領域として本格参入したチルド飲料事業については、エルビー2社をグループのチルド事業の中核会社と位置づけ、早期のグループのコア事業化に向けて育成・強化をはかります。本年より、エルビー(埼玉)とアサヒ飲料(株)の生産・物流面での連携強化をはかり、グループシナジーを生かした事業の拡大を進めます。 3.国際事業について 国際事業については、中国・アジアを中心とした事業展開における収益力の強化と成長基盤の獲得を追求し、将来におけるグループの収益の柱に育成してきます。 中国ビール事業においては、出資する現地ビール会社の各地域における競争力強化を支援するとともに、販売拡大にむけた投資も検討していきます。 急成長している東南アジア諸国と、台湾、韓国等の東アジアにおけるビール事業については、いっそうの成長拡大と最適なサプライチェーン構築による収益性向上を進めます。 康師傅飲品控股有限公司やヘテ飲料(株)を中心としたアジアにおける飲料事業については、市場全体の成長とともに競争がさらに激しくなることが予想される中、アサヒビールグループの技術や経営管理の面からの支援により、本年もいっそうの収益基盤の強化をはかります。昨年大幅に業績を拡大した康師傅飲品控股有限公司については、本年も積極的な拡大戦略を進める考えです。 |
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