アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 池田弘一)は、2004年から2006年までの第2次グループ中期経営計画を策定し、この計画を中心として様々な取り組みを推進しています。
中期経営計画の2年目である2005年は、「国内酒類事業の新たな成長」「グループ事業の新たな成長」「世界に向けた新たな成長」という“3つの成長への挑戦”を通じ、お客様の中で成長し続けるグループ全体の強固な事業力を構築しながら、中期経営計画の最終年度目標の確実な達成に繋がる“飛躍の1年”としていきます。
【1】2004年の概況 1.国内酒類業界の状況と総合酒類事業について 2.グループ事業について 3.海外事業基盤強化について
【2】2005年の取り組み 1.国内酒類事業の新たな成長について 2.グループ事業の新たな成長について 3.世界に向けた新たな成長について
【1】2004年の概況
1. 国内酒類業界の状況と総合酒類事業について
酒類マーケットの中核となるビール・発泡酒市場においては、ビール市場に回復の基調が現れ始めたものの、前年の増税の影響や低アルコール飲料の台頭などにより、発泡酒市場が2年連続の減少となり、ビール・発泡酒総市場も3年連続の減少となった模様です。
一方、缶チューハイや容器入りカクテル飲料などの成長が著しい低アルコール飲料市場と芋焼酎などの乙類の成長を牽引役とした焼酎市場が、お客様の嗜好の多様化を背景に、一昨年に引き続き市場拡大を果たしました。
■アサヒビールの状況
アサヒビール(株)は、2004年を総合酒類事業の新ステージと位置づけ、中核ブランドの高付加価値化を通じた強化・拡大を図ると同時に、グループの総合力を結集して、お客様に感動いただける革新的な商品・サービスを提供していくことを目指してきました。
中核ブランドの高付加価値化については、『アサヒスーパードライ』の“鮮度”を徹底的に追求し、目標としていた製造から工場出荷までの平均日数3日台を実現しました。“鮮度”品質でお客様のご支持をさらに高めることで、ビール市場での存在感をますます拡大することができました。
また、『本生ブランド』については、「アクアブルー」「オフタイム」などのシリーズ商品を含めた3ブランドのご提案を通じて、業界全体が減少する中、『本生ブランド』全体で着実に売上拡大を果たし、市場での存在感を高めることができました。
成長市場である低アルコール飲料や焼酎市場においても、『カクテルパートナー』の高成長や、焼酎『かのか』の年間販売数量が200万箱(1箱:720ml×12本)を突破するなど、中核ブランドと位置づけた商品で着実な成果を上げることができました。
グループ結集型の新提案については、新世代焼酎『SAZAN』、果実の発泡酒『アサヒフルーツブルワリー』などの個性溢れる新商品を発売し、カテゴリーを超えたお客様の潜在的なニーズにお応えすることができました。
総合酒類事業の営業体制強化については、樽生ビール機器のメンテナンス指導を行うアサヒ生ビールサービス株式会社で酒類媒介業免許を新規に取得し、樽生ビールだけではなく、幅広く総合酒類分野で飲食店に対して商品提案ができる体制を構築しました。
また、他カテゴリーよりも専門性の高いワインカテゴリーにおいて、お客様の嗜好に密着したより迅速な意思決定と柔軟性のあるサプライチェーンマネジメントを実現するとともに、ワイン事業の戦略レベルを一段と高めるために、ワイン事業部を新設しました。
あわせて、効率的で健全な酒類流通体制作りを目指し、ビール・発泡酒に関する新取引制度を策定し、2005年年初からの開始に向け、特約店や小売店とともに準備を進めてきました。
2.グループ事業について
アサヒビールグループは、進化するお客様に目線を合わせて、信頼と満足の拡大を目指し、魅力あふれる商品の提供や、心のこもった行動をグループ全体で展開していくことを中期経営計画の中で目標として掲げ、取り組んできました。
国内飲料事業の中核を担うアサヒ飲料株式会社は、事業構造の変革、収益力の飛躍的な改善を進めることができました。また、競争がますます激しくなる市場環境の中で、『三ツ矢サイダー』などの基幹ブランドの売上拡大を果たすとともに、『富士山のバナジウム天然水』、『ドデカミン』などの斬新な商品提案がご支持をいただき、業界平均を上回る成長を遂げ、3年ぶりの売上箱数1億箱(実箱数)突破を実現しました。
食品・薬品事業については、将来の成長に向けた新しい事業モデルの創造を目指し、アサヒフードアンドへルスケア株式会社でダイレクトマーケティング体制を整え、消費者個人対応型・双方向型のマーケティングを強化しました。また、昨年10月に組織改定を行い、従来の5つの社内カンパニーによる事業運営体制から、「ヘルスケア事業本部」「食品事業本部」「ダイレクトマーケティング事業本部」の3つの事業本部による事業運営体制に移行しました。
これにより、事業戦略に合致した組織、流通や規制緩和等の環境変化に対応出来る機動的な組織とし、各事業領域や部門におけるシナジー効果の追求、間接部門の重複をなくしたスリムで効率的な事業運営、商品開発部門の強化、SCM体制の推進、安全管理業務の強化を図りました。
3.海外事業基盤強化について
アサヒビール(株)は、海外事業において連結業績に貢献する新規ビジネスモデルの開発や戦略的投資の検討を進めてきました。
昨年は、康師傅控股有限公司と飲料事業の合弁会社を設立したのを皮切りに、韓国ヘテ飲料株式会社の連結子会社化や韓国の酒類販売会社・株式会社ハイスターへの出資など中国を中心としたアジアにおいて積極的な投資をし、将来的なグループの成長を支える基盤づくりで成果を上げることができました。 また、10年来取り組んできている中国のビール事業についても、北京の最新鋭工場を竣工、春から新北京を発売し、2008年開催の北京オリンピックに向けて市場拡大が見込まれる北京周辺市場において新たな経営体制のスタートを切ることができました。
【2】2005年の取り組み
1.国内酒類事業の新たな成長について
市場の成熟化が進む中で、お客様の求めている価値はますます多様化しており、付加価値の高い新機軸の競争が始まることが予想され、酒類業界全体に大きな転機が訪れようとしています。
酒類マーケットの中核であるビール・発泡酒市場については、新取引制度の導入もあり、流通を含めて、それぞれの個性・強みを活かしたお客様への新たな挑戦が始まろうとしています。
アサヒビール(株)は、酒類業界の転機の流れをチャンスと捉えて、このチャンスを新たな成長としていくために、下記の課題を中心として新しい発想と行動で挑戦していきます。
■お客様の変化への更なる挑戦
お客様の変化に挑戦する新しいご提案については、これまで構築してきたグループの 技術・ノウハウなどを結集した新商品開発体制のさらなる進化を目指して取り組んでいきます。 外部のノウハウを取り入れ、従来のアルコール飲料にはなかった新カテゴリーの提案を実現していきます。また、よりお客様に近いところでの発想を重視した小売流通との新商品開発などを積極的に展開し、売り場の魅力づくりを総合的に提案していきます。
■成長を支える中核ブランドの強化
新たな成長を支える中核ブランドの強化については、『アサヒスーパードライ』を中心とするブランド品質に磨きをかけ、お客様の「うまい」を実感レベルで高めていきます。
『アサヒスーパードライ』については、“鮮度”と“うまい樽生”に関する施策を中心にブランド力をさらに引き上げ、ビール回帰の流れを本格的なものとしていきます。
『アサヒ本生』では、“飲みごたえ”の新提案「ゴールド」をラインアップに加え、ブランドの世界観と市場での存在感をさらに拡大していきます。ビール・発泡酒以外のカテゴリーについては、チャレンジャーとして中核ブランドの市場定着・拡大とアサヒビール(株)の市場地位の向上を目指します。
成長市場である低アルコール飲料市場では、『アサヒカクテルパートナー』の刷新を通じて、カクテル飲料市場のさらなる拡大・市場確立を目指します。焼酎市場においても、『かのか』ブランドへ経営資源の集中を行い、年間売上箱数300万箱(1箱:720ml×12本)超を目指していきます。 |