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平成15年9月25日

「リンゴ・ポリフェノールの発ガン予防作用」についての学会発表について
三重大学医学部とアサヒビール(株)R&D本部の共同研究
アサヒビール株式会社
 アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 池田弘一)が、リンゴから抽出される天然素材である“リンゴ・ポリフェノール”の多面にわたる機能性研究の一環として、三重大学医学部・樋廻(ひばさみ)博重教授と共同で行ってきた「リンゴ・ポリフェノールの発ガン予防作用」についての研究成果がまとまり、樋廻教授により第62回日本癌学会(9月25日〜27日開催)において学会発表されます。
 今回の共同研究では、リンゴ・ポリフェノールの発ガン予防効果をマウスを使った動物実験で検証し、同素材のガン細胞の増殖抑制についての有効性を確認しました。また、そのメカニズムとして、培養細胞レベルで、リンゴ・ポリフェノールに含まれるプロシアニジンが、ガン細胞のアポトーシス(細胞自殺)を誘導することを確認しました。
 細胞は、一般に、放射線や紫外線、活性酸素や各種発ガン物質やウイルスなどによってDNAに損傷を受けることでガン化するとされています。また、ガン細胞は、DNA修復機構や細胞死により除去されることも知られています。

 研究では、発ガン物質を投与したマウスにリンゴ・ポリフェノール1%水溶液を自由摂取させ、飼育5カ月後の腫瘍の数や重量を、摂取しないマウスと比較測定することで、発ガンに対する効果を調べました。
 その結果、リンゴ・ポリフェノール摂取群は、摂取しないコントロール群に比べ、腫瘍の数や重量が抑制されたことが明らかになりました。さらに、リンゴ・ポリフェノール中に50%前後含まれるプロシアニジン(ポリフェノールの一種)という成分が、特に発ガン抑制に対して有効であることもわかりました。

 次に、ヒト胃ガン細胞にプロシアニジン類、特にプロシアニジンC1(3量体)を添加して培養したところ、細胞核のDNAがフラグメンテーション(断片化)を引き起こし、アポトーシス(細胞自殺)を誘導することを確認しました。

 リンゴ・ポリフェノールについては、これまで抗酸化作用、消臭効果、むし歯予防機能、抗アレルギー効果、メラニン生成抑制機能などの機能や効用が確認されています。また、リンゴ・ポリフェノールは他の同様な植物ポリフェノールの中でも、優れた水溶性と呈味性のため応用範囲が広く、食品や飲料への応用がしやすいといった利点を持ちます。
 今回、リンゴ・ポリフェノールを経口摂取によって発ガン予防作用が確認できたこと、またポリフェノールの中でも特にプロシアニジン類が発ガン予防に有効な成分群であることがわかったことで、機能性素材としてのリンゴ・ポリフェノールの新たな分野への応用が期待されます。

発 表 概 要
(1) 発ガンモデルマウスに対する抑制効果
 発ガン物質であるベンズ(α)ピレンを経口投与したマウスに、1%リンゴ・ポリフェノールおよびリンゴ・ポリフェノールから分離した0.5%プロシアニジン類の水溶液を水の替わりに自由飲水させ、5カ月間飼育しました。胃に検出された腫瘍数および重量を測定したところ、対照(蒸留水 D.W.)に比較して、リンゴ・ポリフェノール水を飲水した群の腫瘍の数量および重量が減少し、抑制されていることが認められました。また、リンゴ・ポリフェノール中に主要成分として50%前後存在するプロシアニジン(ポリフェノールの一種)のみを投与した場合、ポリフェノール量として半分の量で同等の発ガン予防効果を示したことから、プロシアニジンが発ガン抑制に特に有効な成分群であることもわかりました。
(2)リンゴ・ポリフェノールによるDNA断片化、アポトーシス(細胞自殺)誘導
 ヒト胃ガン細胞 KATO III細胞に、リンゴ・ポリフェノール由来のプロシアニジン3種(プロシアニジンB1,プロシアニジンB2,プロシアニジンC1)をそれぞれ添加して培養したところ、DNAの断片化が認められ、アポトーシス(細胞死)が誘導されていることが確認されました。
 これらの結果から、リンゴ・ポリフェノールは、発ガン物質による発ガンを抑制し、アポトーシスを誘導し、腫瘍の成長を抑制することが示唆されました。
以上


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