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平成14年9月30日
「リンゴポリフェノールの抗ガン作用」についての学会発表について
弘前大学医学部とアサヒビール(株)R&D本部の共同研究
アサヒビール株式会社
 

 アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 池田弘一)が、林檎から抽出される天然素材である「リンゴポリフェノール」の多面にわたる機能性研究の一環として、弘前大学医学部・佐藤達資教授、三浦富智講師と共同で行ってきた「リンゴポリフェノールの抗腫瘍作用」についての研究成果がまとまり、佐藤教授、三浦講師により第61回日本癌学会(10月1日〜3日開催)において学会発表されます。
 今回、リンゴポリフェノールの新たな機能性の研究の一環として、アサヒビール(株)R&D本部未来技術研究所は弘前大学医学部両氏と共同で、リンゴポリフェノールの抗腫瘍効果をマウスを使った動物実験と培養細胞レベルで検証し、ガン細胞の増殖抑制についての有効性を確認したものです。

 細胞はガン化すると増殖を続け、各種臓器不全等を引き起こします。今回の共同研究では、皮膚ガン細胞及び乳ガン細胞を移植したマウスにリンゴポリフェノール1%水溶液を摂取させ、その生存日数と腫瘍サイズを、摂取しないマウスと比較測定することで、リンゴポリフェノールのガン細胞に対する効果を調べました。
 その結果、リンゴポリフェノールによってガン細胞の増殖すなわち腫瘍の増大が抑制され、ガン細胞を移植されたマウスの生存日数が伸びることが明らかになりました。
 また、その細胞の遺伝子発現を解析することにより、リンゴポリフェノールはガン細胞のアポトーシス(細胞自殺)を誘導することにより、細胞の増殖や腫瘍の増大を抑制することが示唆されました。さらに、培養細胞に対する投与実験より、リンゴポリフェノール中の主要成分であるプロシアニジン(ポリフェノールの一種)のみを培養細胞に投与した場合、ポリフェノール全体を投与する場合の5分の1の量で抗腫瘍効果を示したことから、ポリフェノールの中でもプロシアニジンが抗腫瘍に特に有効な成分群であることもわかりました。

 今回、動物実験により、経口摂取によるリンゴポリフェノールの抗ガン作用が確認できたこと、また特にリンゴポリフェノールに多量に含まれるプロシアニジンが抗腫瘍に有効な成分群であることがわかったことで、機能性素材としてのリンゴポリフェノールの新たな分野への応用が期待されます。今後、さらに共同研究により、プロシアニジンの重合度(単量体(カテキン)の結合度合)と抗腫瘍効果との関係を明らかにし、特に抗腫瘍に有効な成分を精製するとともに、詳細なアポトーシス誘導メカニズムの解明を進めていく方針です。

 リンゴポリフェノールについては、これまで、食品の日持ち向上や色素の退色防止といった品質保持機能、消臭効果、虫歯予防機能、抗アレルギー効果、メラニン生成抑制機能などの機能や効用が研究機関等により確認されています。また、リンゴポリフェノールは他の同様な植物ポリフェノールの中でも、優れた水溶性のため応用範囲が広く苦味が少ないため、食品への利用がし易い、といった利点を持ちます。

 アサヒビール・グループのニッカウヰスキー株式会社では、発泡性果実酒の「シードル」をはじめアップルブランデー、アップルワインなど林檎を原料とする製品を生産しており、林檎の様々な美味しさや特性について長年研究を行ってきました。そうした研究の結果、林檎の加工技術を応用して林檎の幼果(未熟果)からポリフェノール成分のみを抽出する技術を確立し、『アップルフェノン』の商標で1995年より食品や化粧品等の機能性原料として販売を行っています。アサヒビール・グループでは、こうしたリンゴポリフェノールのもつ健康機能を研究・解明するとともに、機能性素材としての応用を進め、食を通じた健康増進に寄与していきたいと考えています。




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