平成11年9月1日 |
「世界に挑戦する革新・創造企業を目指す」アサヒビール中期経営計画
“アサヒ・イノベーション・プログラム・2000” |
アサヒビール株式会社 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 福地茂雄)は、「世界に挑戦する革新・創造企業を目指す」をスローガンにした2000年から2004年までの5カ年の中期経営計画を策定しました。「経営革新・経営基盤強化」を基本方針とした前期の2年間と「グループ競争力の向上・グループ全体の成長」を基本方針とした後期の3年間の2期に分けて取り組みを進めていきます。 1.中期経営目標 国際会計基準の導入をはじめ資本市場のグローバル化、免許制度その他の規制緩和、世界的な合従連衡など、企業を取り巻く経営環境は大きく変化しています。企業は来るべき21世紀に向かって、自らの経営革新を図り、新たな価値を創造し成長し続けなければなりません。 アサヒビール(株)はこれらの経営環境の変化に対し、「お客様満足の追求」「商品品質の更なる向上」を基本に、「キャッシュフローや利益を重視した経営への転換」「資本効率や資産効率の向上」「株主など全てのステークホルダーの更なる満足追求」「グローバルスタンダード経営の推進」「グループ経営の強化」などを中期の経営目標とし、「経営品質の更なる向上と経営の革新」を達成していきます。 <売上・利益目標>
2. 基本方針
3.主な取り組み (1) コーポレートガバナンスの革新 アサヒビール(株)は、規制緩和や国際会計基準の導入など目まぐるしく変化する経営環境にスピーディーに対応できる経営体制の再構築を進めます。2000年3月の株主総会の承認を経て、取締役の人数を10名程度にするとともに、社外取締役を2名以上にし、報酬制度にはストックオプションの導入も検討します。さらに取締役会の下部組織として、「指名委員会」、「報酬委員会」を設置します。これらの革新を通じて、取締役会の機能強化・透明性の向上を図ります。 また同時に執行役員制を導入します。取締役と執行役員の兼務は社長を含め2名程度とすることで、経営と執行の明確な分離を図ります。 取締役はアサヒビール(株)の業務執行の監督と意思決定に加え、グループ経営戦略の策定・グループ経営の重要な意思決定を通じたグループの強化・成長を図ることを主なミッションとします。このようなグループ経営のスタッフとして、本社にグループ本社機能を設置します。 (2) 財務リストラ 中期経営計画前期には、国際会計基準の導入スケジュールに対応して、有価証券含み損の解消や年金資産積立不足の解消などの財務リストラを完了させます。コストダウンによる収益性の向上や財務リストラの完了によりキャッシュフローは大幅に改善し、2004年には実質的に無借金経営が可能となります。 また、1998年に6132億円ある連結ベースの金融債務も金融子会社の業務を縮小することなどにより、2004年には2000億円以下に削減することを目指します。 これらにより今後生み出されるキャッシュフローを成長性のある事業領域に積極的に投入し、更なる企業価値の向上を目指します。 (3) 効率化 利益重視の経営を更に推進していくために、効率化についても積極的に行っていきます。原材料費や燃料費などの製造コストの低減や販売促進費などの固定費を効率的に使用することなどにより、売上高営業利益率の向上を図り、5年間の累計では1200億円以上のキャッシュフローの増加を目指します。 また、全社の人的生産性については、現在でも業界トップレベルにありますが、計画的な採用活動を続けながら、一方で定年退職者などの自然減により、1999年末約4300人の人員を、2004年には200人減の約4100人体制にし、さらに効率化を進めていきます。 (4) 新工場計画と生産性 アサヒビール(株)の工場生産性は世界的に優れたビールメーカーと比較して遜色のないレベルにありますが、今後ビール事業の国際競争の激化が予想されるなかで、確固たる地位を確保していくためには、さらに高いレベルでの生産性の向上が不可欠となります。大規模消費地である首都圏を中心とする地域への供給拠点として2002年5月に竣工する「神奈川工場」は、「革新的な環境保全と生産性を有する21世紀型の工場」を基本コンセプトとし、地球環境保全に積極的に取り組むとともに、世界最高水準の品質管理技術と世界最新鋭の生産設備により世界トップクラスの生産性を実現します。 神奈川工場の一人当たりの生産性は、年間15万KL生産時で2000KL、将来の増能力時には3500KLを実現します。 東京工場については、立地などの条件から将来的な工場拡張・増能力・設備更新等が困難なため、同工場の機能を「神奈川工場」に移転し、生産体制の再構築を図ります。 (5) 商品 当社の主力商品である「アサヒスーパードライ」は、売上を拡大し続けていますが、品質や鮮度、またスタイニーボトルといった機能の充実に更に磨きをかけて、お客様満足の向上を図り、さらに売上の拡大を目指します。 また今後とも、お客様のライフスタイルに合わせて、「アサヒ黒生」や「アサヒ生ビール富士山」「アサヒファーストレディ シルキー」のような個性的な商品をきめ細かく提供していきます。 また、変化するお客様の嗜好・ニーズの変化に対応した商品開発をしていくため、市場調査機能・研究開発機能の充実を図り、ビールのみならずアルコール飲料全般でお客様のニーズに的確にお応えしたオリジナリティー溢れる商品を提案します。 (6) 販売体制 酒類自動販売機の撤廃問題や2003年の一般酒類小売業免許の大幅な規制緩和などにより市場に大きな変化が見込まれています。その変化を先取りした営業組織の再編や営業人員の再配置、経営資源の投入などを行います。 本社では、経営環境の変化に対する戦略機能を強化するために、営業本部内に本部企画室を設置しました。また地区本部では、広域流通部の拡充や量販営業部の設置など、新業態チャネルへの対応強化を図っていきます。 また、営業部門の情報システム化はこれまでも積極的に展開してきましたが、既に導入している提案型営業を支える「営業携帯端末システム」の強化や情報を体系的に整理統合する「ナレッジマネジメントシステム」の構築など、営業情報システムの活用をさらに強化していきます。 さらに、パソコンの家庭への普及により今後予想されるインターネットを利用した酒類の流通変化にも十分な対応策を準備していきます。 (7) 品質 アサヒビール(株)は、鮮度活動の推進、各製造工程の品質を確実に保証する品質保証システム(太鼓判システム)の導入、それを支援するための品質情報の一元化・共有化を図る「TECOS(品質保証支援システム)」の構築などにより、経営理念にある「最高の品質」をこれまでも全社員・全部門が一丸となって追求し続けてきました。また、本年4月には、研究開発本部に製品の品質保証に関する分析や製品の安全性や健康に関する評価研究を行う「総合評価センター」を設置し、品質保証体制の強化を図っています。 今後も原材料の調達から飲用までのプロセス全般で高いレベルの品質を目指していきます。そのために、当社の品質の基準となる「品質ガイドライン」をより一層高い水準に引き上げるとともに、本社でISO9001を取得・維持することで品質保証体制の更なる強化を図ります。 また、海外ビール事業の拡大に合わせ、世界レベルでの品質基準の作成・実現に取り組みます。 (8) 海外事業 アサヒビール(株)は、世界をマーケットに事業展開することを、重要な経営目標の一つに上げています。これまで北米、ヨーロッパ、中国を中心に世界の多くの国で「アサヒスーパードライ」をご愛飲いただいており、味・品質ともに高い評価を頂戴しています。海外ビール事業につきましても、導入時期を経て、採算ベースでの貢献が期待できるところまで成長してきました。2002年度に中国事業は事業黒字化、2004年度に北米事業は事業黒字化を目指します。また、ヨーロッパ地域でのビール事業についても、2000年にチェコ共和国で「アサヒスーパードライ」の現地生産を開始するなど、さらに強化・拡大します。 この結果、アサヒビールブランドの販売量は2001年には8百万箱、2004年には17百万箱を実現します。また、現地ブランドを含めた海外総販売量は2001年に63百万箱、2004年には106百万箱を実現します。(大びん換算) (9) グループ事業再編 国際会計基準の導入や、競合企業・投資家のグローバル化など、グループ経営の強化は重要な経営課題として認識しています。アサヒビールグループではグループ経営の強化を目指し、事業ポートフォリオに基づいたグループ事業の再編成を早急に行います。同業種の統合や低収益事業からの撤退などにより、現在93社あるグループ企業を半分から3分の1程度に再構築します。一方で、今後発生する豊富なキャッシュフローを活用して、グループとしてシナジー効果が発揮できる新たな成長分野へ事業を積極的に展開します。 また、アサヒビール(株)はグループ企業の「株主」という立場を強く意識し、グループ企業をROEやキャッシュフローなどの収益性やグループへの品質・コスト貢献度など継続的で客観性のある基準で評価します。これにより事業ポートフォリオの見直しを常に行い、継続的なグループ価値の向上を図ります。さらに2000年からは連結決算を四半期ごとに行い、開示します。 (10) グループ本社組織 グループ経営の更なる強化を目的として、事業持株会社としての機能充実を図るため、本年9月よりアサヒビール(株)内に下記グループ本社機能を設置します。グループ本社機能としては、さらに複数の機能が必要となりますが、グループ間の調整、インフラ整備が整い次第、今後順次設置することとします。 <グループ本社部門>
(11) 環境経営 環境経営については、その取り組み範囲の拡大と充実をさらに図っていきます。本社でのISO14001の取得をはじめ、環境監査・環境教育の強化など、環境経営の継続的革新を図っていきます。 さらに環境に関するコスト及び効果を金額ベースで把握・管理する環境会計を導入し、その結果を環境報告書(エコレポート)で開示します。 また、省エネルギーやリサイクルについても、引き続き積極的に取り組み、エネルギー使用原単位で世界トップの成果を実現するとともに、環境負荷の低減を促進する新しい資材の導入を図ります。さらに2008年から2012年までの5年間については、CO2の排出量を1990年に比べて6%を削減することを目標に、2004年のCO2排出原単位を1990年比30%削減することを目指します。 (12) 人材育成 企業を取り巻く環境が激変している時こそ、戦略の必要性は増し、そしてその戦略を実現できる人材の確保・育成が重要となります。 アサヒビールグループでは、人事評価・育成などの人事面に関する方針の統一やグループ内での人材の流動化を推進することにより、グループ全体での人材の育成・有効活用を図ります。さらに将来の経営を担う人材の育成を目的とした「早期選抜制度」などを導入し、若手社員の育成と活性化を図ります。 (13) IR活動 IR活動は株主・投資家からの信頼を深める上で、重要な活動の一つと位置づけており、今後ともさらに充実させていきます。テーマ別説明会の実施や2000年から予定している海外ロードショーの実施など質と量の両方の充実を図ります。 内容については、中期経営計画の進捗状況、四半期ごとの単体・連結の業績、環境経営情報などの充実を図ります。また、情報開示の方法としては、通常の説明会の他に、スモールミーティングの開催やホームページでの掲載を予定しています。 以上 |
売上高目標 利益目標 経営指標目標 総資産・自己資本・金融債務 目標 |
1.アサヒビール『神奈川工場』の概要
2.アサヒビール「東京工場」の概要
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