鹿児島県
焼酎文化一日の仕事を終えての愉しみ
「だれやめ」
夕方、日も暮れてくる頃、鹿児島県人の間で合い言葉のように使われる言葉が「だれやめ」。「だれ」=「疲れる」、「やめ」=「止める」ことで、一日働いた後に晩酌や軽い飲み会を意味する言葉です。ロクヨン、もしくはゴーゴーから飲み始め、徐々に薄めていきながらゆっくりと焼酎を愉しみます。また、飲む焼酎の量はだいたいが二合まで。それ以上飲むことは「飲ん方(宴会)」となり、晩酌の「だれやめ」とは区別しているそうです。
焼酎文化酒席を盛り上げる遊び
「なんこ」
鹿児島県には、酒宴を盛り上げ、親睦を深める「なんこ」という遊びがあります。ある程度焼酎を飲んだ頃、なんこ盤を前にふたりが向き合います。お互いが3本のナンコ玉(10cmほどの棒)を後ろ手に隠し、気合いとともに右手を突き出し、相手がナンコ玉を何本持っているか、または双方合計の本数を言い当てるゲームです。
審判役が勝負を見守り、負けると盃の焼酎を飲むことに。また、勝った人が「花」と称される盃を受けることもあるそうです。慶長3年(1598年)、島津義弘が朝鮮から帰国した際に広めたと言われています。
酒器鹿児島生まれの酒器「ちょか」
「ちょか」は、平べったいボディに短い脚が3本ついた土瓶の一種。漢字では「茶家」もしくは「千代家」と書き、一説では琉球の「茶家(ちゃーかぁ)」がルーツとも言われています。独特の形は倒れないように、また、熱の伝わりを早くするためとも。
一般的に知られている「黒ぢょか」は、薩摩焼の黒い陶器ですが、より高級な白薩摩の「白ぢょか」もあります。
好みの割合で水と焼酎を入れ、数日寝かせて「前割り」を愉しみます。燗にする場合は電熱コンロや、固形燃料、ガスコンロのとろ火などで人肌ほどに温めます(電子レンジは使用不可)。ゆっくり温めると酒器の中で対流が起こり、さらに焼酎と水がなじみ、まろやかな味わいと香りを愉しめます。温めすぎると焼酎のコクや香りが変化してしまうのでご注意を。
また、黒ぢょかは水洗いしません。
焼酎の味が酒器に染み込むようにと、使い込んでいくのです。
※前割りは、つくったご自身と同居されているご家族の方のみでお愉しみください。(酒税法:法43条11項による)