Q 今回「ボルス・アラウンド・ザ・ワールド」の予選に参加したきっかけは何ですか?
A 実は前回も応募したのですが、残念ながら予選を通過できませんでした。このサイトのレポートで、昨年ファイナルに出場された野勝矢さんの活躍ぶりを拝見して「今年こそは出場したい」と思い応募しました。
2007年にシンガポールで開催されたアジア・パシフィック・カクテル・コンペティションに出場させていただいたことがあります。その時は1ポイント差で表彰台を逃してしまいましたが、技術的にも味わい的にも十分に渡り合える手応えを感じ、もう一度世界大会へのチャンスが欲しいと思っていました。
コンペティション自体の数が減っているなか、「ボルス・アラウンド・ザ・ワールド」は世界で勝負できる貴重な大会です。今回はファイナルに出場できて光栄に思っています。
Q 日本の大会と海外の大会の違いは?
A 私自身、一度しか経験がないのですが、シンガポールでの世界大会は、日本でいうコンペティションというより、お祭りやパーティーのような雰囲気でしたね。想像以上に楽しむことができ、また日本では味わえないような経験ができたので、今回の「ボルス・アラウンド・ザ・ワールド」でもいろいろと勉強してきたいと思います。
Q よく海外の大会は、味わいのインパクトが強い方がいいといわれていますが……。
A 確かに以前はそういう傾向があったと聞いています。しかし、審査員の方々は味覚のプロフェッショナルです。みなさんトップレベルの感覚をお持ちだと思いますので、日本の大会同様、自分の味で勝負していきたいと思います。
Q 具体的にはどのようなカクテルですか?
A 日本発という意味で「和」を意識しました。はじめから「和」を意識していたわけではないのですが、つくっては壊し、壊してはつくりという作業をしているうちに、「和」というコンセプトにたどり着いた感じです。
味わいとしては、梅酒や煎茶にくず粉でとろみをつけ、柚子で香り付けしたホットカクテルです。茶器や土瓶を使い固形燃料で熱しながらつくるので、視覚的にも楽しんでいただけると思います。
世界大会に出品するカクテルですので、非常にコンセプチュアルです。世界の方々に日本の文化の素晴らしさ、日本にしかない独特の材料、それらとボルスの融合した世界観を伝えたいと考えています。
Q パフォーマンスも何か考えていますか?
A まずはパフォーマンスよりも英語できちんとコンセプトを伝えること、それができたら何か特別なパフォーマンスをするかもしれませんが、あくまで主役は私ではなくカクテルだと思っていますので、カクテルが際立つような演技をしていきたいと思っています。
Q 英語でのパフォーマンスということで、この大会に参加することを戸惑う日本の方が多いのですが……。
A 言葉の違いに対する苦手意識のために、世界大会参加のチャンスを逃すのは大変残念なことだと思います。文法も大事だとは思いますが、何より「伝えたい」と思う気持ちが重要だと思っています。私も英語が得意ではありませんが、臆することなく積極的に挑戦してきたいと思います。
Q 最後にファイナルに向けての抱負をお聞かせください。
A まずは、優勝にこだわって勝負していきたいと思います。
同時に、アムステルダムまで招待していただいたので、海外のバー文化やトレンドも吸収してきたいと思います。そして世界各国から参加するバーテンダーとも交流したいですね。様々な意味で「ボルス・アラウンド・ザ・ワールド」は貴重な大会です。そこに参加させていただけることに感謝しつつ、精一杯戦ってきたいと思います。
Liquor World Nextでは、「ボルス・アラウンド・ザ・ワールド」ファイナルの模様を、現地オランダ・アムステルダムで取材予定。新井氏の活躍も含めて、現地からのレポートをご期待ください。
お湯/50ml
くず粉/10ml
茎茶/5ml
スライスした日本産ショウガ/1片
を茶器にいれ、茶筅で混ぜ合わせる。
土瓶に移し、火にかける。
ボルスアマレット/20ml
ボルスジュネーバ(日本未発売)/20ml
自家製梅酒/10ml
を加え、沸騰直前に器へ注ぐ。
柚子ピールを飾り、梅酒の梅を添える。
父親がバーテンダーだった影響から幼少の頃よりバーテンダーを志す。現在は「BAR猫又屋」のマスターバーテンダーとして働く一方、結婚式場やカフェなどのプロデュースを手掛ける。2007年度アジア・パシフィック・カクテル・コンペティション(他国)のクラシック部門ファイナリスト。
栃木県足利市家富町2222-2
☎0284-43-2678