☆ベンチ
最近、ベンチ が気になっています。
街を歩きながらよーく見てみると、実にいろいろな素材、いろいろな形のものがあります。
最近では、太陽発電を利用して電力を供給できる充電機能が設置されたベンチもあるとか。
→*ボストンの町にスマートベンチ登場
日本にも古くから縁台というベンチがありますよね。
一般的に普及したのが江戸時代とも言われていますが、
夏の季語にもなっていたり、
サザエさんのマンガにも縁台で将棋を打つ光景が出てきたことを思い出します。
縁台は、庶民の憩いの場でもありました。
以前、東京は深川で「縁台」を制作し、
その縁台を町角に置いているアーティストの荒野真司さんと
いろいろお話したことがあります。
荒野さんが、縁台を作り街に設置しはじめたそもそものきっかけとは・・・?
荒野さんの生活圏(深川)には、お年寄りが多い。
歩行者専用の歩道がない道路も多い中、車の路上駐車は老人の歩行にとってとても危ない。
でも、たとえば、そこに縁台を置けば、路上駐車ができなくなり、
お年寄りたちの歩行場所も確保され、また、憩いの場となる。
街の導線を「縁台」で変えることができる。
なにかひとつのきっかけで-つまり「縁台」を置くことで、
街のインフラが変わることに気がついた。
これはとても興味深いお話でした。
また、縁台とは、ひとりで座るものでもない、ということ。
縁台に人がふたり座っていたとして(たとえば端っこ同士)、
片方が立ち上がると、バランスを崩し、ひっくり返ってしまうこともある、
それが縁台。
だから、たとえ知らない同士でそこに座っていたとしても、
立ち上がるときは、一声かけて立ち上がる。
そもそも、コミュニケーションを取り合うことが前提のもの、それが縁台。
なるほど。
縁を結ぶ台、文字通りですね。
ある小学校の校庭に面した縁台(ベンチ)には、蚊取り線香が置いてありました。
そこで、ちょっと長居しておしゃべりする人々が思い浮かびます。
超高齢社会、地域コミュニティの問題、などなど、
現代社会にはいろいろな課題があります。
それらを、真正面から考え、課題解決の糸口を見つけることも大切なことですが、
ちょっと違う角度から考えてみる。
歩道を作ればいいのにと思うだけではなく、荒野さんの縁台のように、
大きなところからではなく、小さなところから手を差し伸べてみる。
縁台、ベンチ。
どんな場所にあるだろう。
どんな場所に置いていけばいいだろう。
これからも、街中を観察して歩こうと思います。
荒野さんが制作されている縁台の写真や詳細はこちらで。
→*「深川美術」
(ハナコ)
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