老後の楽しみ?に
先日、定年でご退職される大先輩とお話する機会があり、退職後はどのように過ごされるのかをお伺いいたしました。取りあえずゆっくりお休みになられるのかと思っておりましたら、山登りにゴルフやジム通いをし、空いてる日には週二回ぐらい碁会所に行かれる予定とのことでした。退職後もご自分の趣味を持たれ、積極的にやっていこうとされている姿は頼もしく、羨ましささえも感じました。高齢化の進む世の中ですが、元気なシニアは益々増えていくことでしょう。
私自身もそろそろ老後のことを考えなくてはならない年になり、自分だったら何をするだろうかとふと考えてしまいます。そんなある日、お客様との約束で新橋のあるビルに行った帰り、ふと横を見れば碁会所を発見。
ここは外からも中を窺うことができたので、ちょっと覗いてみました。平日の午後にも関わらず席の7割方は埋まっており、皆真剣に囲碁を打たれています。50代半ばから70代ぐらいの方が30名ほどおられたでしょうか。先日の大先輩のお話しではないですが、今後定年退職される方々が、ご自分の趣味を生かす空間として利用されるには面白い場所だと思いました。そう言えば、私自身も学生時代に老後の楽しみにでもなるかなという気持ちで、囲碁を少しかじったことがありました。
そもそも碁会所という所は、囲碁をするための場所ですが、例えばこの碁会所の場合、席料(入場料)の500円を支払うだけで、一日中お客様同士で囲碁を楽しむことができます。あらかじめ自分の棋力を受付の方に申告し、碁会所のほうで対戦相手を決めてもらい、1局勝負がつくと次の対戦相手を決めていただきまた戦うのです。夜は午後9時まで開いているとのことで(開店は午前11時)、一日に10局以上対局される方もいるとか。お金があまりかからないこともいいことですが、囲碁は先を読むゲームで頭と指先を使うため、老後のボケ防止につながるとも言われています。またこういった場所に行けば、新たな出会い、趣味を共有する友人も作ることができそうです。対局後、碁会所で知り合った仲間と近所で一杯飲んで帰るなんてこともあるでしょう。但し、こういった場所には若い人や女性はほとんどおられません。確かにおしゃれな感じもしませんし、老人同士煙草を燻らせながら黙々と囲碁を打ち合う姿は、気軽に寄り付きにくい雰囲気もあります。しかし、確実にシニア層は増加していきますし、こういった場所にも今後ビジネスチャンスが隠れていそうです。
最近インターネットで対局を楽しむ方も多いと聞いていますが、囲碁のようなゲームは勝負が終わった時にお互い「こうすれば良かった」「こうしたらどうやってた?」等言い合うこともまた楽しみの一つなので、碁会所が廃れることはないでしょう。また、こういった場所には、不思議とアルコールを扱っていない所が多いです。ビールを飲みながら初対面の方と囲碁を打つのは、相手にとって失礼なことなのでしょうが、煙草は平気で吸われています。碁会所にも禁煙スペースや飲酒スペースがあると、もっと楽しめそうな気がします。
一時「ヒカルの碁」というアニメが流行り、囲碁のブームが起こったと言われているようですが、実際にはまだまだ浸透しているわけではありません。囲碁は、碁石を互い違いに打って、最後はどちらがたくさんの陣地を取ったかを競うゲームです。ルールも決して複雑ではありません。また、戦略の構築力や大局観、忍耐力、計算力、センス等が磨かれる大変知的なゲームだと思います。老後に夫婦で囲碁を楽しむなんて、けっこうおしゃれではないでしょうか。
(所長)
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