ハピブログ ちょっと寄り道|ハピ研メンバーがみつけたちょっとした発見や出来事を紹介!

「表現」に触れるということ。

三寒四温の日が続きます。そして気がつけばあっという間に二月。早いですね。
年が明けてからも、ライブに美術展に舞台に映画にとグルグルまわっています。


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写真は、当社が久米仙酒造様と共同開発した泡盛「島思い(しまうむい)」のラベルデザインの原画を作成したアリカワコウヘイ!さん(とチョウチョ)です。
先月末、表参道ヒルズで展覧会がありました。太陽の光がたくさん差し込む明るいギャラリー内には、アリカワさんのやさしくカワイイパステル画がならびます。そして、なんと足元は、大理石の床に木材が敷き詰められところどころにお花や草が。まるで公園を歩いているような感じ。外は硬質な都会の街並みなのに。この一瞬の足の感触の変化と雰囲気のスィッチに驚いていたら、なんと本物のチョウチョが飛んでいる!ちょっとした驚きと柔らかい気持ちになれる空間でした。
(この展覧会は、全国を巡回されるようです。)

さて、私は「(アート)表現」に触れることが大好きなのですが、さてどうして好きなのか。
やはり「新しい価値観に出会える」からだろうな、と思います。私とは違う人(=アーティスト)の視点や、彼らが思い考えていることを「表現」を通じて知る。アーティストが見ていること、そしてその彼らの内面にあることが、たとえば、絵になったり、音楽になったり、演技やパフォーマンスになったり、映像になったりしているわけです。「自分とは違うな」とか、時には「どうもこれはよくないな」と思うことがあったとしても、それはまたそのアーティストが切り取ったひとつの「真実」でもあるわけです。「なるほどね」とまずは受け入れてみることで、世の中の多様性を実感することもあります。

また、一見とっつきにくく感じてしまう「表現」であっても、実は日常的に私たちのまわりに起こっている事や、存在していることが取り上げられていたりもします。また、過去の作品を通じて、私たちはその「表現」が成された時代の生活や状況を知ることもできたりしますよね。歌川広重の絵を見て、「ああ、江戸時代の日本橋はこんな感じだったのねぇ」とか、そういう思いをした人も多いのでは。たとえばそういう視点で「表現」に対峙してみる、と、すーっと理解できることもあったりします。あるいはちょっと難解そうな現代音楽も、たとえば「最近の街の様子からインスパイアされた」と言われれば、「なるほど」と感じることもある。「表現する」というのも、それらを「鑑賞する」というのも、実は同じモノを違う面から見ている、というだけのこと、決して、すごく遠いこととか高いところにあるものではないんですね。

以前参加した元MOMAの教育担当アメリア・アレナスさんのギャラリートーク(展覧会の作品ガイド)では、その絵の技法やタイトル、作家についての説明はありませんでした。
最初に数分間、じっと作品を鑑賞したあとに「この絵の中ではなにが起こっている?」とか「何を見てそう思ったの?」などといった質問をされます。そこから始まる会話の中でアメリアさんが専門的な要素をフォローしてくれるので最終的にはその絵の背景とか作家の考えも知ることになります。「対話による鑑賞法」と言われているもので、アメリアさんが世界中の美術館で普及している方法です。このガイドを受けると、それまでの自分が実はその絵の横に掲示してあるキャプション(タイトルなどの説明書き)しか読んでいなかったことに気がつきます。肝心な「表現」を見ていなかったりしているのです。

最近では、一方的になにかを「表現」し発信するだけではなく、我々と一緒に「考え」表現するアーティストもいます。

今、ハピプロインタビューで取り上げている『Kosuge1-16』の活動はまさしくそうです。昨年、彼らは、西巣鴨周辺の小学生と商店街を巻き込んで「巨大紙相撲大会」というのをやりました。(企画をしたのは「芸術家と子供たち」というNPO法人。)どんな内容だったかというと、ダンボール紙で子供たちが巨大な力士を作り、本物と同じようなしつらえで作られた土俵でトントン相撲をする、というもの。『Kosuge1-16』はそのためにまずは「相撲」というものをあらゆる角度でリサーチしたといいます。「力士」作りのワークショップでは、できた「力士」の四股名(しこな)を街の人につけてもらうため、子供達がその力士をかかえて街に出ます。そして子供たちに街の大人たちにインタビューをさせるのです。この「力士」がいなかったらありえなかった街中でのコミュニケーション。そういったプロセスを経て「力士」は完成し、このワークショップの千秋楽でもあった相撲大会当日は、なんとそんなクチコミで知った巣鴨の街から300人近いお客さんが集まりおお賑わいだったそうです。
こういった『Kosuge1-16』のような「表現」活動は、美術館などの施設を飛び出して街の中に出て行き、人や地域と関わることで「表現」をふくらませていく、という大変ユニークで、実は今の社会の中でなかなか解決できない問題をいとも簡単にクリアしてしまうこともある、とてもハッピーな「表現」活動だったりもするのです。

そんなわけで、たくさんの刺激的な「表現」に出会うべく、相変わらず今年も落ち着きもなくいろんなところに出かけてしまうのでした。
ライブパフォーマンスの楽しみについてはまた今度。


*KOSUGE1−16 HP クリック→ http://homepage.mac.com/kosuge1_16/
*巨大紙相撲の様子 クリック→ http://kosuge116.exblog.jp/7705721
*NPO法人芸術家と子どもたち HP クリック→ http://children-art.net/asias/

(ハナコ)


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